災害関連死に関する意見書 1 - 日本弁護士連合会│japan

災害関連死に関する意見書 1 - 日本弁護士連合会│japan

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1、災害関連死に関する意見書2012年(平成24年)5月11日日本弁護士連合会第1意見の趣旨1被災地の自治体は,災害弔慰金の支給等に関する条例における「災害関連死」には,災害と死亡の間に直接的なつながりが認められる場合だけでなく,災害がなければその時期に死亡することはなかったと認められる場合(例えば,災害により死亡時期が早まった場合等。)が含まれることを広く住民に明示するとともに,弔意の趣旨に沿って,できる限り広い認定がなされるよう適正に運用すべきである。また,下記の事情により,体調を崩したり,病状が悪化したりしてか

2、ら災害前と同程度まで体調を回復させることなく亡くなった場合を,災害関連死に該当する具体例の一部となることを参考にした上で,弔意の趣旨に沿った適正な審査をするべきである。国は,適正な運用がなされるよう,この認定基準を被災地の自治体に対し周知するべきである。記(1)地震及び津波(地震での怪我,津波で海水を飲んだ,風邪を引いたなど。)(2)原子力発電所事故(被ばく,被ばく及びその可能性によるストレス,事故収束作業又は除染作業に伴う疲労等。)(3)ライフラインの断絶(自宅,避難所,職場,病院等を含む。主に電気の断絶等。)

3、(4)避難所,避難先,仮設住宅及び被災した自宅等の住環境の変化(劣悪な避難環境,親戚宅への避難で遠慮して十分に暖がとれなかった,心理的ストレスで体調を崩した,寒すぎる仮設住宅,被災した建物の2階部分での生活,避難先の変更等。)(5)周辺の医療機関の状態及び対応の悪化(医療機関自体の被災及び停電により医療機器が使えなくなった,暖房が入らなくなった,災害対応準備のために入院患者を退院させた,必要な薬が不足した,必要な医療器具が使用できない又は患者多数等で転院を余儀なくされたなど。)(6)灯油の入手困難及び節電等で十分

4、に暖をとれなかったこと1(7)体調維持に必要な食事や薬等を入手できなかったこと(持病の薬,流動食,アレルギーに対応した食事等を入手できなかったなど。)(8)災害によって生じた人的環境の変化(家族が亡くなった,避難先に知り合いが誰もいなくなった,家族が二重生活を余儀なくされた,解雇された,生業を廃業したなど。)(9)災害によって起きた環境変化等によるストレスによる自傷行為等(自殺,アルコール依存等。)(10)その他災害によって生じた平時にはない特殊な事象(救助活動,ボランティア活動,除染作業等。)2被災地の自治体は

5、,市町村及びその委託を受けて県に設置された災害弔慰金支給審査委員会における審査を迅速化し,審査が容易な件については申出から2か月以内に決定し,審査が困難で十分な事実調査を必要とする件又は不認定とする件についても6か月程度で判断を行うことを目安に審査体制を整えるべきである。3被災地の自治体の判断基準が明確ではなく,出訴期間に関する教示が十分でなかったことに鑑み,被災地の自治体は,過去に不支給と判断した事例についても必要に応じて積極的に再審査を行うべきであり,裁判所は,不支給決定に対する取消訴訟において出訴期間を経過

6、した場合の正当事由(行政事件訴訟法第14条1項ただし書)につき柔軟な解釈をすべきである。4国及び被災地の自治体は,被災地の住民及び全国の避難者に対し,災害弔慰金制度と災害関連死には災害と死亡の間に直接的なつながりが認められる場合だけでなく,災害がなければその時期に死亡することはなかったと認められる場合(例えば,災害により死亡時期が早まった場合等。)が含まれること及びその具体的な該当例を積極的かつ分かりやすく広報するとともに,震災直後から現在に至るまでに死亡届の提出がなされた全ての方の遺族に,遺族の心情に十分に配慮

7、した内容の災害関連死の制度と申出に関する具体的な案内を個別に発送し,疑問を感じる事案については積極的に災害関連死の審査の申出又は弁護士会や日本司法支援センターへの相談を促すように周知をするべきである。第2意見の理由1災害弔慰金の趣旨災害によって肉親が死亡した遺族には,災害弔慰金の支給等に関する法律第23条及び各自治体の条例に基づき,直接死に限らず災害と因果関係がある災害関連死について災害弔慰金が支給される。東日本大震災においては,地震,津波,原子力発電所事故等で死亡した場合が対象となる。従前の裁判例に照らしても,

8、災害がなければその時期に死亡することはなかったと認められる場合(例えば,災害により死亡時期が早まった場合等。)は広く災害関連死とされる。災害弔慰金を支給する趣旨は,肉親を災害で失い,精神面や生活面で苦難を強いられることとなる遺族に対し,弔意を表すとともに物心両面から支援を行おうとするところにあることからすれば,その運用は,間違っても狭くされるべきではなく,弔意の趣旨に沿っ

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