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1、近世養生の世界と水戸藩瀧澤 利行 茨城大学教育学部10/9/20211養生とは何か中国および朝鮮、台湾、日本の極東アジアの文化的環境の下で形成された無病長生のための思想と方法であり、すすんで精神的修養や人間形成のあり方を示す思想中国→養生(ようせい)日本→養生(ようじょう)10/9/20212養生の思想的起源『荘子』→「養生主」篇『列子』→「楊朱」篇『孟子』→「盡心」『老子』→「攝生」自由でとらわれのない生のあり方10/9/20213養生思想の背景道家思想→老子、列子、荘子神仙思想→不老不死信仰
2、、錬丹道教文化→陰陽五行、自然観、宇宙観儒教思想→孟子10/9/20214中国の養生論東晋葛洪『抱朴子』 張湛『養生要集』梁陶弘景『養性延命録』唐孫眞人『備急千金要方』宋蒲處貫『保生要録』明高濂『遵生八箋』10/9/20215日本における養生論の変遷物部廣泉『攝養要訣』丹波康頼『醫心方』「養生」「延年方」丹波行長『衞生秘要鈔』曲直瀬玄朔『延壽撮要』名古屋玄醫『養生主論』竹中通菴『古今養性録』貝原益軒『養生訓』本井子承『長命衞生論』水野澤齋『養生辨』10/9/20216養生論の内容「養形」→身体
3、「養神」→心中国養生論の基本技法1.金丹 6.房中2.内丹 7.護身3.辟穀・服餌4.調息5.導引10/9/20217日本における養生論の内容1.総論・原則 10.起居動静 19.家庭2.飲食 11.呼吸 20.自然3.性欲・房中 12.選医用薬 21.人体4.導引・運動 13.療養5.排泄 14.養老育幼6.衣服 15.諸芸7.視聴覚 16.道徳8.沐浴 17.文化・教養9.養神 18.利財
4、10/9/20218日本における養生論の特徴1.天人合一論2.内経系医学と傷寒論系医学の混交3.撰述→引照・例照→口述・筆録4.道教文化から儒教文化への移行5.「節欲慎身」6.「気静体動」7.修養論的性格8.感情の抑制9.体制的文化への適応10/9/20219近世後期における養生論の変化1.武士階級から識字庶民階級へ2.身体的健康から生活全般へ3.欲望の抑制から欲望の肯定と解放へ4.道教的文化からの離脱5.西洋文明の部分的受容6.規範の寛容化7.「人間」の自覚と個別的自己形成10/9/20211
5、0水戸藩と養生論1.穂積甫庵『救民妙薬』(元禄6年)→水戸光圀の命による撰述、民間処方集2.原南陽(昌克)『砦草』(文政元年)→軍陣養生論、救急処方集10/9/202111『救民妙薬』(小曽戸洋『日本漢方典籍辞典』)10/9/202112『救民妙薬』の基本「大君予に命ずらく、山野貧賤の地には、醫もなく、薬もなし、下民病て臥時は、自治するを待、不治者或死或廃人となる、是皆非命なり、求やすき単方を集て、是にあたへ、是をすくへ」130項目、397方の紹介と解説「庶幾済民の一助ならんか」→医療福祉思想
6、の萌芽か?10/9/202113原南陽(昌克)1752ー1820略歴名は昌克。字は子柔。父昌術は水戸藩医。京に遊学、山脇東門、賀川玄悦に師事。大酒家。江戸にて落魄、按摩を業とす。後、水戸藩主の霍乱を治療し,侍医となる。主著に、『醫事小言』『叢桂偶記』『傷寒夜話』『経穴彙解』『脚気編叢記』など多数。10/9/202114原南陽(昌克)肖像(富士川游『日本医学史綱要』)10/9/202115原南陽『砦草』(文政元年)(小曽戸洋『日本漢方典籍辞典』10/9/202116『砦草』の内容「飲食」「防禦
7、」「水脈」「打撲」「犬喰」「蛇傷」「気絶」「虫歯」「腫気」「備急円」「金瘡」「眩暈」「舟車ニ酔」「食傷」「血留」「豆」「やけど」「溺死」「凍死」「魘死」「驚死」「瘧」「淋」「小瘡」「膝瘡」「突き目の薬」「竹中半兵衛飢を救方」→軍陣医学を中心とした救急法と養生法10/9/202117原南陽の思想「俗人の醫ごゝろ有はあしきものなり、・・・なまなか醫法を覺て却て害になること少なからず、病は醫にまかするを良とす」方伎へのコンプレックス、武士としてのアイデンティティ→子の昌綏は水戸藩軍師として出仕→南陽の
8、強い軍事への関心武田二十四将原美濃守虎胤の子孫?10/9/202118原南陽の思想『砦草』→武士の基礎的教養としての保健的知識「さればこそいにしへのものゝふは、くすしのみちをも心がけ方書をもたくはへぞかし」(叙言)10/9/202119
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