世界の異質性と世界経済秩序のあり方 日语论文

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1、「世界の異質性と世界経済秩序のあり方」星 野 三喜夫1.はじめに 世界は、文化・社会的に多かれ少なかれそれぞれを他と区別する異質の特徴や個性、「癖」を持つ地域や国、地方から成り立っている。グローバル化が進展し市場経済主義が支配的になっている現代であるが、地域、国、地方の経済を規定している異質構造性に目を向けることなく世界経済や国際経済を理解するのは難しい。また、世界経済の異質性を基礎付けているのは文化的風土的要因であり、この考察なしに世界の経済秩序のあり方を論じるのは片手落ちである。 このような問題意識から、本稿では、まず前半で日本

2、の風土的環境について一次風土である自然環境とともに、特に二次風土である灌漑・農耕体系の特異性、及びそれに基づく日本人の精神構造と潜在能力について考察し、後半で、世界の異質性に着目し、世界経済政策や世界経済秩序のあり方を論考する。2.日本の風土的環境と特異性⑴ 一次風土と二次風土の重層的把握 一国あるいは一地域の特徴や特異性は、歴史的時間的要因だけではなく、自然的風土空間としての一次風土(人間を取り巻く自然環境(naturalenvironment))と、この一次風土によって規制されることの多い第一次産業(特に農業。作物の種類、灌漑方

3、法、農具、その他の農法等)の様態としての二次的風土(自然環境によって大きく規定される技術等の生産体系)を重層的に把握することによってより鮮明になる。国民経済(及びその行動主体である人間、社会組織、経済機能)は、一次風土によってその精神風土を強く規制されると同時に、一次風土の影響下にある二次風土によっても大きな影響を受け、外的接触も含めて、各地域、国、地方は歴史的時間的経過の中でそれぞれの特性を作り、それらを変化させながら、しかも過去に強く規制されて新たな特性を持つことになる。 日本は、アジア大陸の東側に南北3,000kmにわたって弓

4、状に位置する島国である。起伏に富んだ山脈が日本列島を横断しその約7割は山地である。日本列島の複雑な地形や海流による影響を受けて、気候的には亜熱帯から亜温帯に属するが、その大部分は海洋性の温暖な気候で、四季がはっきりしている。 日本は、地形および四季から見ても微妙な変化に富み、湿潤な自然的特長を持っており、それが日本の風土に大きく影響している。風土と人間との関わりを研究した和辻哲郎は、彼の風土論1の中で、日本の風土が「時間」と「空間」に基礎を置いており、空間においては、個と個の対立、人と自然の対立というような対立、緊張関係としてではな

5、く、人間を人と人との間柄の関係として捉え、その関係が家族や地域共同体、国といった集団を形成するとともに、更に風土という一定の場Page3「世界の異質性と世界経済秩序のあり方」48において出会いを持つもの、と捉える。即ち、人間存在を歴史的風土的規定の中で捉え、その「空間」は同時に風土的過去をもって時間と関わっており、人間存在は歴史的・風土的の二重構造を持つものとしている2。⑵ 気候分類と日本人の風土的気質 ミラーの気候分類(「気候分類と農耕(地域・作物分布)」)3に従うと、日本は「B温暖温帯気候」の「B2温暖東岸気候(冬乾夏雨)」の分

6、類に入る。また、日本は、天水農耕が普通である西欧等と異なり、アジアの農耕体系に一般的な、小規模な局地灌漑に依存したウィットフォーゲル4の言う「水利農耕」に拠っているが、福田仁志の乾燥指数を使用した灌漑に焦点を当てた分類5では、日本は「主給灌漑」(降雨が少なく灌漑による灌漑水が降雨より多い)に属する。一方、同じ乾燥指数を利用しながら耕作方法という別の面から整理をした飯沼二郎の分類6によれば、日本は他の東アジアの国・地域と同様に、年乾燥指数20以上、夏乾燥指数10以上100(ないしはそれ以上)の極めて湿潤な地域に区別される。飯沼の農法パ

7、ターンによる地域区分は、稲作農業に適応した農法=農具体系の展開が、日本の農業と社会構造および日本人の労働観に大きな影響を与えたことを示唆する。 日本は、アジアでは唯一、北西ヨーロッパと共に封建制を経験した国であるが、飯沼によれば、日本農業の風土的特質として、中耕除草農業、特に日本のように湿潤地帯の水稲農耕は労働集約化による土地生産力の増加が顕著であり、「日本の奴隷制が家父長制的奴隷制として発達し、大土地経営として発達しなかった」ことを挙げる。そのような条件下で日本の「荘園」制は次第に「名田」(荘園の賦課単位である一定規模の土地)と言

8、われる中央集権から独立したものが一般化し、律令体制が崩れて社会秩序が乱れる中で武家の主従関係に取り込まれて行き、鎌倉幕府(1333年までの約150年間)での封建制の成立をもたらす。そのようにして成立した封建制は風土的条件下での名田の家

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