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改訂31章工業包装の概要(工業包装の手順)(JPA/JPM)日本梱包工業組合連合会指導教育委員会 工業包装の概要目次ページ1包装の定義と種類..................................................................................................................11.1包装の定義......................................................................................................................11.2包装の目的-工業包装・商業包装...................................................................................11.3包装の分類と分担...........................................................................................................22近代包装の沿革と動向...........................................................................................................32.1近代包装の沿革...............................................................................................................32.2工業包装技術の推移(1960~1992年).........................................................................52.3近代包装の動向.............................................................................................................103包装設計の要素...................................................................................................................113.1輸出包装の特異性.........................................................................................................113.1.1包装の保護機能の相異............................................................................................113.1.2流通環境の相違......................................................................................................113.1.3習慣・思考の相違...................................................................................................113.2損傷事故の種類と原因..................................................................................................123.2.1物品の破損.............................................................................................................123.2.2損傷事故の対策......................................................................................................133.3輸出包装における設計諸要素........................................................................................143.3.1梱包対象物の形態と品質の確認..............................................................................143.3.2生産者から海外需要者までの流通環境の調査.........................................................143.3.3適正梱包方法及び材料の選択.................................................................................143.3.4解体.....................................................................................................................143.3.5詰合せ.....................................................................................................................154マーキング..........................................................................................................................164.1マーキングの目的.........................................................................................................164.2マーキングの種類.........................................................................................................164.2.1船積みマーク(ShippingMark)..........................................................................164.2.2一般貨物の荷扱い指示マーク.................................................................................174.3危険物に対する標札及び標識........................................................................................304.4マーキング施工上の注意...............................................................................................334.4.1外装容器に施すマーク............................................................................................334.4.2マークの色彩..........................................................................................................335工業包装の手順...................................................................................................................345.1前処理...........................................................................................................................345.2個装及び内装................................................................................................................345.3外装の種類と選定の基準...............................................................................................355.4木箱梱包作業手順.........................................................................................................38 工業包装の概要1章工業包装の概要1包装の定義と種類1.1包装の定義包装は,包装される内容品の種類及び流通の経路及び形態によって多種多様であるが,-般的な包装の意味はJISZ0108(包装の定義)によって,次のように定義づけられている。「包装とは物品の輸送・保管などにあたって価値及び状態を保護するために適切な材料・容器などを物品に施す技術および施した状態をいい,これを個装・内装・外装の3種類に分ける。(1)個装個装とは物品個々の包装をいい,物品の商品価値を高めるため,または物品個々を保護するために適切な材料・容器などを物品に施す技術および施した状態をいう。(2)内装内装とは包装貨物の内部の包装をいい,物品に対する水・湿気・光熱・衝撃などを考慮して,適切な材料・容器などを物品に施す技術および施した状態をいう。(3)外装外装とは包装貨物の外部の包装をいい,物品を箱・たる・かんなどの容器に入れ,もしくは無容器のまま結束し,記号・荷印などを施す技術および施した状態をいう。上記のように,包装を個装・内装及び外装の3種類に分けているが,内容品によっては,個装の前に物品の清浄・錆止めなどを施す「前処理」及び輸出貨物については包装後の「パッキングリストの作成」などが含まれる。1.2包装の目的-工業包装・商業包装包装の目的は,前項の定義にもあるように,「物品の輸送・保管などにあたって価値および状態を保護するため」となっているが,本来包装は生産者から最終需要者または消費者に,品質をそこなわずに無事に届けるための保護手段であって,包装そのものが目的ではない。したがって,目的が達成し得るのであれば無包装でも差し支えないと考えられる。しかしながら,近代の複雑な流通過程においては,輸送・保管・販売などが繰り返し伴うので,最小限度の包装を欠かすことはできないのが現状である。このように,輸送・保管に対する保護のみを目的とした包装を工業包装(または輸送包装)といい,それにさらに販売目的を加味した包装を商業包装(または販売包装)といっている。わが国では,工業包装のことを-般に「梱包」ともいって定着してきているが,漢字国である中国または韓国などでは,梱包という言葉は麻袋包み、又は、むしろ包みのような圧縮包装の意味にとらえられているので注意を要する。工業包装(輸送包装)―――――>梱包輸送・保管を目的とした包装包装(広義)――商業包装(販売包装)販売を目的とした包装-1- 工業包装の概要工業包装はその目的から,必要最小限の包装を施し少経費であることが望ましいのであるが,商業包装は保護目的以外に販売目的があるので,そのためには多少費用がかかっても,消費者の購買意欲をそそるためのデザインを施して,少しでも多く売るための包装ということになる。商業包装は「商品の-部であり商品の顔である」といわれるゆえんである。本書では,このうち主として工業包装の理論と設計について述べようとするものである。1.3包装の分類と分担包装は,1.1項のように個装・内装・外装に分類され,さらに目的によって工業包装と商業包装に分けられるのであるが,この実務を一貫して行われることは少なく,一般には次のように分担が分けられている。生産者前処理包装業者生産者(生産・包装の一貫作業)個装紙器その他容器メーカー(デザイナー)包装業者包装業者内装生産者(生産・包装の一貫作業)紙器その他容器メーカー外装包装業者生産者生産者パッキング包装業者リスト商社通関・倉庫業者以上のように,商品により分担が分けられているが,そこで設計責任者の問題があるが,一般には生産者主導で包装業者その他が関与しているのが普通である。-2- 工業包装の概要2近代包装の沿革と動向2.1近代包装の沿革四面海に囲まれた天然資源の少ないわが国は,米国のカリフォルニア州にも及ばない狭い国土(37万平方キロ)に,米国の人口の約半分の大人口が住んでいる。この1億を越える人口が人間らしい生活を維持するためには,どうしても原材料を輸入し製品を輸出する,自由交易による加工産業を国の基本姿勢としなければならない宿命がある。わが国の国土の広さは,全地球陸地の1/400,すなわち0.25%であり,人口は世界の2.5%であるのに対し,経済力の世界比は11%に達している。そして年間約6億トンの資源を輸入し(そのうち約2億トンが油),約8千万トンの製品を輸出しているといわれている。これは国民の勤労精神と労使の協調さらに極めて効率のよい生産設備をもち,その結果として品質・価格ともに国際競争力のある製品を生み出しているのである。そして,この8千万トンの輸出に貢献しているのが,わが国の輸出包装である。現在,わが国の包装は世界の先進国と比べて,量的にも質的にも遜色のない一流水準に達しているといわれている。戦前,戦中及び敗戦直後に比べると,戦後50数年,今日の日本の包装の近代化・合理化の実情は,まさに隔世の感があり,いわゆる「日本の包装革命」が,包装関係官民のたゆまぬ努力により静かに完成されたといっても過言ではない。この日本の包装革命は,どのような沿革をたどったかについて,概観してみよう。もともと包装革命は,第二次世界大戦を契機として画期的な革新を遂げてきた。すなわち,戦中,戦後における物量の広域・大量・高速な移動交流の必要性及び陸海空交通輸送の展開さらに近代科学技術の躍進がその背景にあった。かいじんそして,日本の包装革命は焼土と化した敗戦日本の灰燼の中から,海外の知識とくに米国の軍需包装の知識を吸収して急速に復興してきた。そして,日本の包装革命は次の5つの分野で革新が進められた。①意識革命・・・・・・・・・・・・・・・包装に対する考え方の変化②材料革新・・・・・・・・・・・・・・・包装材料の変化③技法革新・・・・・・・・・・・・・・・包装技法の変化④人材革新・・・・・・・・・・・・・・・包装技術者の養成⑤管理革新・・・・・・・・・・・・・・・包装業務の管理上の変化(1)戦前,戦中の日本における,荷造包装に対する観念は,いわゆる運送屋の片手間仕事の域を出ず,これを重要視する意識は全くなかったに等しい。戦後になって,米軍よりの特需発注に示された包装仕様書の近代的な内容に接して,がく然となり,日本がいかに包装に対する姿勢,意識が遅れていたかを痛感させられたのである。そして,包装が物流に不可欠な要素であることを認識させられ,現在の包装の意識革命となり,日本の包装近代化の推進力となったのである。(2)戦前,戦中の日本の荷造包装の材料といえば,木や竹の箱,わら製品,防水紙、木毛など手近な天然材料を主としたもので,包装専用材料というものはなかったに等しい。これも,米国の軍需包装に示された,防水バリヤー材,プラスチック及びワックスを主材にした耐油バリヤー材,金属箔の防湿バリヤー材,各種防錆材料・VCI・可剥性プラスチ-3- 工業包装の概要ックなどの種類と用途が規格化されたものに接して近代包装には,これらの包装専用材料が不可欠であることを認識するに至り,官民を挙げて包装材料の規格化と製品化に努め,今日の材料革新がもたらされてきた。とくに,a)紙・板紙を主材とした軽量包装の開発普及。b)プラスチック系材料とその複合材料・金属はく等の利用による防湿・防水包装の発達。c)新しい緩衝材料の開発に伴う緩衝包装技法の確立。など,包装材料の革新が技法の革新にも大きな影響を与えてきた。(3)近代包装とともに,それまでの経験とかんに頼っていた職人芸的な包装技法から,科学的・合理的な包装技法が研究・開発されて普及するようになってきた。例えば、包装設計に基づく試作,試験,改良などが行われるようになり,さらに内容品の物性,流通環境の実態も科学的に把握できるようになって,包装技法も専門技術として合理的・実証的に行うようになってきた。加えて,量産商品の量産包装あるいは無人化包装にまで発展して,今日の技法の革新がもたらされてきている。(4)包装革命に欠かせないのが人材の養成である。そして,海外の近代包装技法を吸収し普及するためには,包装技術者を養成することが急務であった。そのため日本の包装,物流に関する各種の団体が人材養成の講座を設けて管理者の養成に努力してきたことは,世界的にみても極めて特徴的なことであるといえる。また,管理者のみならず現場実務者の養成のため,労働省の職業訓練法に基づく技能検定の職種に段ボール箱,工業包装などが加わり,国家試験による技能士の技能検定試験が都道府県単位で行われるようになって,多くの技能士が誕生していることも見逃すことはできない。(5)包装材料、技法の進歩とともに,各企業も従来ともすれば末端管理として軽くとらえていた包装業務を,専任担当者を配置した重点業務として包装設計,作業,実績を管理する体制に変化してきた。そして,この革新が今日のような包装産業として大きく成長した基盤を創りだしたといえるものになってきた。このような包装革命は時代の進歩とともに進められてきたが,その第一段階として昭和25年以来通商産業省主催による「輸出包装展」が全国の主要都市で開催されて,包装材料及び技法の開発と啓蒙、普及に大きな推進力となった。第二段階としては,昭和41年に東京晴海においてアジアで初めて国際包装展(東京パック)が開催され,欧米各国からも多数の包装材料・包装機械が出品され,同時に包装の国際会議も開かれるようになった。それ以後2年毎に東京パックが開催され,年を追うごとに規模も拡大し,新しい包装様式が生まれている。さらに,国際的包装団体として世界包装機構(WPO)ができ,その傘下としてアジア(APF),ヨーロッパ(EPF),北米(NAPF),中南米(ULAPF)にそれぞれ包装連盟ができて包装の情報交換と国際化が図られるようになってきた。欧米とくにアメリカにおける近代包装の沿革をみると,包装技術の科学的研究と開発は戦前から進められており,その積み重ねられた成果は立派な学問として成り立ち,産業界ではその研究データに基づいて,より新しい,より合理的な包装が行われている。-4- 工業包装の概要また包装貨物の輸送に当たっては,鉄道,船舶,自動車などの輸送業者が一体となって安全輸送に協力し,生産者から消費者の手にわたるまでの,各部門の関係者全員が,包装の合理化を1つの目標として,共同研究を行なって開発を進めている。そしてさらに,包装の合理化は,単に包装に限らず商品の設計そのものも包装を考慮した要素を取り入れている。工業包装部門については,米国農務省の林産物試験所が包装容器に関する科学的研究成果をシリーズ的に発表して,包装の合理化に貢献してきている。この面では,わが国に包装改革推進の政府機関である,公的試験所または研究機関が活動していないことは残念なことである。2.2工業包装技術の推移(1960~1992年)2.2.11960年代(昭和35年~44年代)1960年代は,わが国経済の高度成長時代で高速道路の整備・国鉄のコンテナ化等、流通形態の近代化が進められた。また,商品の量産化時代に入り,輸出の伸長も著しく(べトナム特需等),とくにプラント輸出が活発化した。流通形態の近代化に伴い包装形態及び輸送包装技法も下記のように推移した。(1)生鮮食料品の木箱⇒段ボール箱(コールドチエンに伴う耐水段ボール箱の開発)(2)家電製品の木枠・段ボール箱⇒ワイヤバウンド箱(W・B・Box)・段ボール箱(W・B・Boxの全1盛時代)()。1備考()段ボール箱の耐圧力不足と木箱の労働集約形生産であるのに対し,W・B・Boxは機械生産可能な量産向きで,ぶな材など使用度の少ない木材が使え,梱包工数の減少などの利点があるので,二輪車の輸出をはじめ,比較的重い家電製品のテレビ・冷蔵庫・洗濯機・クーラーなどに多用され包装費の縮小に貢献した。(3)緩衝材として段ボール成型,故紙パルプ成型の他フォームラバー,ワッデイング,エアキャップ,サンフレックス,ヘアーロック,パームロック等の使用。2(4)Gファクターその他の緩衝理論が米国より導入される()。2備考()米国では理論的緩衝技法が確立した(ミンドリン)。また,米国林産試験所で段ボール箱の段積み輸送における振動の影響(No.1)を研究発表した。(5)フレキシブルコンテナの開発(粉体輸送)。(6)量産化に伴い,包装の流れ作業の時代に入る(爆発的に輸出の増えた二輪車のW.B.Boxを用いた大量包装,家電製品のライン包装など)。3(7)包装容器(木箱・紙器等),包装材料、包装技法,各種試験方法などのJIS化が出揃う()。3備考()段ボール関連のJIS規格(原紙、シート,箱形式,試験法など)が整備され,米国では,PPP-B-636(連邦規格〕及び鉄道運賃等級ルール41(段ボール仕様書)などが出回り,林産試験所技師K・Q・Kellicuttが研究論文を多数発表する。日本でも有名なケリカットの式などである。4(8)通産省の一貫パレチゼーション政策の推進パレットプールシステムの導入(初期段階)()。4備考()当時は鉄道輸送が主体であったが,フォークリフトの普及と鉄道貨車の改造などでパレットによる輸送が急速に進んだ。反面パレットの回収が難しいので,一-5- 工業包装の概要貫輸送用平パレットによるパレットプールシステムの思想が導入され始めた。2.2.21970年代(昭和45年~54年代)51970年代は,中国向けなどプラント輸出の全盛時代であるが(),後期は円高とオイルショックによる物価高,後進国の債務超過などにより激減する。5備考()プラント輸出は後進国の経済援助と産業発展に寄与する面からも,長期融資と政府の後押しもあって急速に増加した。とくに石油生産国のプラント輸出が急増し,韓国・中国にも工業化推進のための各種プラント輸出が増加した。工業包装(梱包)業界もこれに答えるため,業者も増えるとともに技術者の養成に力を入れ技術面でも飛躍した時代である。しかし,1970年代の末期頃からプラントも行きわたり,後進国の債務の超過,円高による競争力の低下,ヨーロッパ勢の追い上げなどで急減していった。反面,円高による原材料の輸入安,技術革新による生産性の向上(カンバン方式,ロボットの導入など)が図られて,貿易収支はいぜんとして黒字基調で推移する。国内輸送は道路網の整備により,鉄道よりトラック輸送が主力となる。それに伴いパレチゼーションが本格化する。国際輸送も自動車の専用船の出現,コンテナ船の増加,国際複合輸送など物流の新たな分野が開発されるに至った。また,工業包装技術についても下記のような変革がもたらされた。(1)外装関係6a)段ボールの品質向上に伴い改良段ボール箱の台頭とW・B・Boxの衰退()。強化段ボールと木製スキッドによる中量物包装の段ボール化が始まる。6備考()W・B・Boxの需要はワイヤーが付いているための廃棄上の苦情が出始め,一方,段ボール箱のライナの品質向上・耐圧力の強化などにより,一部を除き全く姿を消すことになった。段ボールのライナについては,Kライナ(100%クラフトパルプ)の他にK’ライナ(故紙と強化補強剤の混合),K”ライナなどが開発された。b)シュリンク,ストレッチ包装など集合包装の新しい技法の開発。C)木箱関係JISの第一次改正。適用範囲の拡大,腰下付木箱の新設,枠組箱に合板の適用,設計基準の明確化など大幅改良が加えられた。d)薄鉄板を加工したSteelBoxが実用化され始めた。e)強化プラスチック容器の開発。ビール・牛乳・コーラ等液体飲料の通箱が木箱から逐次7強化プラスチック容器に変換する。()7備考()強化プラスチック容器は清潔的で美麗なので需要が増加し,従来の木枠の通箱は激減した。(2)内装関係8a)緩衝材として各種の発泡材の開発・普及及び各種緩衝理論の発表()。8備考()成型可能な発泡緩衝材の開発は家電製品などの包装に革命をもたらし,同時に段ボール箱の需要に拍車をかけるに至った。とくに,発泡ポリエチレン製品は緩衝特性も優れ,設計理論も確立して比較的重量物にも多用されるようになった。米国の緩衝理論として,①脆弱度測定方法及び試験機の開発-6- 工業包装の概要②段ボール箱の段積み輸送の振動の影響(No.2)が発表される。その他MIL-HDBK-304A(緩衝包装設計法)が制定される。わが国でもNDSZOO09(緩衝包装)が制定された。9b)各種防湿包装材料の開発・普及()。9備考()防湿包装材科は,アルミ箔を使用したものが主体であったが,ポリフィルムの品質向上とアルミ箔に代わる各種の複合プラスチックフィルムが開発されて活用されるようになった。(3)その他10a)自動釘打機の普及などによる作業性の向上()。10備考()木箱の製造に不可欠な釘打ちに圧縮空気による自動釘打機が普及して能率の向上と、あまり熟練を要しないため人手不足の緩和が図られるようになった。b)軽包装作業の自動化推進。C)重量物木箱設計のコンピュータ化が始まる。11d)輸出梱包業界の組合結成と輸送包装技術者養成の本格化()。11備考()従来の日本包装技術協会の包装管理士(輸送包装)に加え,東西に輸出梱包組合が結成されてから,梱包管理士の養成に力を入れる。(4)輸送包装に関する国際交流a)韓国:K.D.P.C(KoreaDesign&PackagingCenter)と交流が始まり,1971年初めて韓国に輸送包装専門企業が誕生。b)中国:1978年中国商品包装輸出入総公司と交流が始まり,以後包装各界との交流が進む。2.2.31980年代(昭和55年~平成元年)1980年代は貿易収支の大幅黒字持続による貿易摩擦の深刻化の時代である。そのため自動車・ハイテク製品などの輸出自主規制・内需と輸入の拡大・企業の海外進出などが進められた時代でもある(進出企業の設備プラントの輸出増大)。海外流通もコンテナ船輸送及び航空機輸送が増大し在来船輸送は減少した。このため輸出包装の形態も簡易化の方向に向かった。(1)外装関係a)コンテナ輸送及び航空機輸送の増大による外装形態の変換。木箱⇒段ボール箱1213中量物木箱⇒パレタイズ強化段ボール箱()またはSteelBox()コンテナ利用によるモジュール思想の普及。12備考()三層の強化段ボールが普及されるようになり,パレットと支柱を併用することにより,1ton程度のものまで使用されて,それだけ木箱の利用度は減少してきた。また,容積の縮小,軽量,開梱性,廃棄性などの効果があり,航空貨物,コンテナカーゴとして今後ますます増える傾向にある。13備考()腰下は木製または鉄製で,薄鉄板にリブ加工または波加工して側・つま・天井を造り組み立てた様式のSteelBox(S-Box)が開発されて,木箱に代わるようになってきた。段ボール箱に内装されたもの,または小型製品の詰め合せ包装として使われ,体積の縮小,防水性、容易な開梱性に効果がある。しかし,各社各-7- 工業包装の概要様で強度的裏付けに乏しいきらいがあり,多種少量には不向きである。b)木箱関係JISの第二次改正普通木箱・腰下付木箱に合板の適用,枠組箱の適用範囲を60tonに拡大等。同時にコンピュータによる設計ソフトが充実して普及し始める。14c)重量物とくに工作機械類の包装の鋼製容器(SteelStructureBox)の出現()。14備考()鋼材製容器(S.S-Box)は工作機械などの包装に利用されてきているが,設備投資の問題で全体としてはまだ一部であり,今後容器の標準化を進めることが課題である。また,工作機械以外の重量物にも部分的に鋼材構造を用いた容器も増加する傾向になった。また,大型木箱の開梱性と廃棄問題による難点の緩和が図れる。15d)外装用段ボール箱のJIS改正。箱の形式にコードNo.導入等()。15備考()JISP3902(ライナ),JISP3904(中しん),JISZ1516(外装用段ボール),JISZ1506(外装用段ボール箱)が二度にわたり軽量化の方向に改正された。またJISZ1537(防水段ボール)の制定。段ボール箱の形式が従来のA.B.Cなどからコード番号表示に変わった。(JISZ1507)(2)内装関係a)さび止め包装方法通則のJIS改正防湿包装の乾燥剤計算式の係数の改正等。16b)米国緩衝理論の発表()16備考()MIL-HDBX-304B(緩衝包装設計法)に緩衝材料の振動データが追加された。林産試験所より段ボールを緩衝材料としたときの特性その他が多数発表される。(3)その他a)パレットプールシステムが本格化する。17b)工業包装技能士の国家試験制度開始()。17備考()輸送包装に携わる現業員の資質と地位の向上を図るため,労働省(現厚生労働省)による技能検定制度の指定業種として「工業包装技能士」を加え,国家試験が行われるようになった。これは実技と学科からなり,経験年数により1級と2級に分けて各都道府県単位で実施される。C)JISの国際化の必要から輸送包装に関連した各種JISの見直しと改正。d)各種商品包装規格の見直しと改廃。写真機・双眼鏡・顕微鏡・映写機等の包装規格の廃止,マッチは改正等。(4)輸送包装に関する国際交流a)韓国:輸出包装業者も100社近くなり,有志が輸出包装及びコンピュータ利用のセミナー開催等交流を続けているが,1990年には代表団が来日し,今後は業界同志交流の幕開けとなる。b)中国:1980年中国機械輸出入総公司・中国技術輸入総公司等と技術交流。1981年より研修生受け入れ開始。ただし,他業種からの研修生が多く研修の実効が伴わないきらいがあった。1987,1988年輸送包装セミナー開催。-8- 工業包装の概要1988年通商産業省を窓口とした政府間の交流が始まり,1988年4月第一回協議会が北京で開催される。工業包装分野では輸出梱包組合,木箱組合及びパレット協会が参加。2.2.41990年代(平成2年~)相変わらずの貿易収支の大幅黒字により,日米間の貿易摩擦は益々深刻化し,内需の拡大,経済の構造協議等に発展するが,1991年にバブル経済の崩壊に伴い消費の減退,輸出不振等の経済の下降線をたどることになる。(1)包装廃棄物1991年ドイツにおける包装廃棄物を販売業者に回収を義務づける法律制定が大きな影響を及ぼし,とくに発泡緩衝材料の回収とリサイクルが難しい問題となる。その結果再びパルプモールド・段ボール等の処理しやすい緩衝材料が台頭してくるようになった。(2)環境問題世界的な環境破壊につながるラワンなど南方材の伐採も問題となり,諸官庁の建築関係にラワン合板の使用を廃止するなどの指示が出てくるようになった。梱包業界でも今後の問題として,一部でラワン合板に代り米国・カナダ等から輸入した0.S.B(方向性をもたせたバーチクルボード)が使用されるようになり,また中国製の竹合板も注目されるようになった。(3)包装用木材の燻蒸1991年10月30日に「中華人民共和国出入国動植物検疫法」が公布され,1992年4月1日から実施で,日本から輸出する包装用木材は全て燻蒸処理をして政府機関の消毒証明書を添付しなければならないことになった。その後の交渉で消毒証明書は必ずしも政府機関でなくても公的機関でもよいことになったが,今後の輸出業界にとって煩わしい問題となった。これも森林保護のための環境対策の一環として取り上げられた問題である。(4)国際交流1990年には第2回日中包装技術交流促進協議会が東京で開催され,また中国機械電子工業部代表団及び韓国の梱包業界代表団が来日して梱包工場を視察するなど活発な国際交流が行われた。-9- 工業包装の概要2.3近代包装の動向最近における商業包装(販売包装)は急速な進歩を遂げたが,一方過剰包装の面もあり,とくに包装廃棄物による公害問題をかかえている。また,工業包装(輸送包装)については,コンテナリゼーション,パレットを用いた集合包装またはストレッチ包装,シュリンク包装など,輸送手段の改善によって包装の合理化・簡易化が強力に押し進められてきている。とくに,段ボール箱の品質向上と強化段ボールの活用により,従来の木箱包装が段ボール箱包装に変わり,枠組箱による重量物包装も一部鋼製容器に変わって容積の縮小を図るなど包装様式の合理化がなされている。包装廃棄物に対する問題は世界的な環境問題にもなっており,とくにドイツでは包装容器と材料を販売業者に回収を義務づける法律を制定している。わが国でも処分の難しい緩衝材・発泡スチロールなどの回収及びリサイクルを進めているが,経済的問題がネックになっており,これに代わるものとしてパルプモールドの成形材,段ボールを加工した緩衝材等が脚光を浴びるようになってきた。しかし,緩衝性能の面では発泡材料は優れた特性をもっているので,成形加工の段階で使用量の節減を図る設計も進められている。物流費は,材料コスト,作業コスト,輸送コスト,保管コスト及び荷役コストに分けられるが,最近とくに重要視されているのは,人件費や運賃の高騰に伴う作業コスト,輸送コスト,荷役コストなどである。とくに輸出の場合は輸送距離が長く,荷役回数も多くなって単に包装して輸出すればよいという概念から,安全かつ正確にしかも安く買主に届けるという複合輸送などトータルコストの考え方が重要視されてきている。-10- 工業包装の概要3包装設計の要素3.1輸出包装の特異性輸出包装は国内向け包装に対して用いられる海外向け包装用語であるが,輸出包装が国内包装ととくに異なっている点をみると,次のようなことが考えられる。3.1.1包装の保護機能の相異輸出包装は,輸出商品を保護するため遠距離輸送・長期保管・頻繁な荷役・予想外な衝撃・過酷な気象条件,さらに盗難などに耐える機能が必要である。したがって,国内包装よりも費用が掛かり,また専門技術を要する場合が多い。とくにわが国は島国である関係上,陸続きの欧米各国のようにトラックによる輸出はできず,全て船舶か航空機によらなければならない。それだけにきびしい保護機能が必要になってくる。3.1.2流通環境の相違国内向けの場合は,流通環境の把握も容易であるが,海外向けは的確な把握は容易ではない。そのため予想外の危難に会うことがある。日本よりも昼と夜の温度差の大きい地域では,金属製品に結露による発錆が多発することが多く,とくに念入りな防湿包装を必要とする。冬季旧ソ連に送った金属製品の貨物が,しばらく-30℃の屋外に置かれたのち,+20℃前後に暖房された工場内に運びこまれたときは,温度差50℃に及び,包装内部の製品がバケツの水をかけたように濡れていたという例がある。また輸送機関で生ずる衝撃も大きく手荒な荷役も予測しておかなければならない。米国に送った貨物が鉄道輸送され,操車場での貨車の連結衝撃が10G以上となり,金属製品が容器から飛び出した例もある。日本の操車場では,突き放した貨車が段々と減速してから連結するのと違い,米国の操車場は,傾斜地で突き放した貨車が段々と加速されてから連結するという仕組みの相違によるものである。3.1.3習慣・思考の相違国によって物の価値判断が相違しており,包装貨物を慎重に取り扱う国、包装してある以上どんな荷役をしてもよい筈だと考える国。あるいは大形機械製品で機能になんら支障をきたさなければ,多少の塗装の傷,錆などは補修して使用する国,少しの傷でもクレイム対象として賠償を求める国等、習慣と思考姿勢が異なっている。このように,買手と売手は異国人なので,感情,要望,判断などが売手と異なる場合が多い。したがって,売手であるわれわれの判断のみで処理するだけでなく,買手の要望,習慣などをできるだけ受け入れた配慮が必要である。-11- 工業包装の概要3.2損傷事故の種類と原因包装貨物の損傷事故はいろいろな原因で発生するが,その主なものは,①物品の破損②錆,腐食,水濡れ,かびなどによる品質低下または使用不能などである。3.2.1物品の破損(1)輸送中の衝撃による破損a)海上輸送海上輸送における破損は船積みの際の積み付け,ショアリング,固定などが不備のため船のローリング,ピッチングなどで荷崩れを生ずる,過度の下積み,固定用ダンネージ使用の不適切などによるものである。b)鉄道輸送鉄道輸送における破損は振動に対する貨物の固定の不備、または貨車の連結時の過度の衝撃による破損などがある。日本の場合の連結時の速度は2~3km/hが一番多く1~2Gであるが,米国の操車場では速度が5~10km/hとなることがあり,10G以上の衝撃値になることがあるので注意を要する。C)自動車輸送自動車輸送における破損は貨物の固定の不備,急制動の衝撃(50km/h以上)または長時間の悪路走行の過度の繰返し振動,高速急カーブ時の遠心力などによる。備考:一般に輸送中の破損は余程悪条件に遭遇しない限りきわめて少ない。また,常時予測される程度の衝撃値の範囲内であれば包装内部における緩衝・固定等で保護されていなければならない。(2)荷役による破損a)適切でないクレーン・フォークリフトなどの荷役による破損b)横転・転倒・落下などによる破損備考:貨物の破損は荷役中に発生するものが一番多い。例えば,①正しい吊り位置でないロープ掛けにより貨物が傾いたり,はずれたりする。これは,しばしば落下事故につながる。②短いロープで荷揚げして貨物の上部を破損する。③フォークリフト輸送中,地面の凹凸で貨物が傾き落下する。④フォークの先端で貨物の底面を破壊する。⑤クレーン・フォークリフトなどの過度の接地衝撃。⑥人力荷役による落下,小型貨物ほど多い。⑦人力荷役による乱暴な横転・転倒。(3)保管の不適切による破損a)貨物の大小・質量などに関係無く無理な積重ねがされるとき。b)局部的に荷重の働く不規則な積重ね。(ダンネージ材料使用の不適切〕C)正常な位置でない保管。(主として小形貨物は上下方向が守られないことが多い)(4)開梱時における破損堅固な木箱は反面その開梱が困難である。したがって,適切な工具を用いないで無理な開梱をするとき,しばしば内容品を破損する。-12- 工業包装の概要備考:木箱の場合,要所要所の釘のみを抜けば円滑に開梱できるものでも,梱包の知識がない場合に大ハンマーで板をはがしたり,鉄棒を内部につっこみ内容品を傷つけたり破壊する例がある。先進国でも大形木箱の場合,周りをチェンソーで切断して開梱して品物を破壊する例がある。最近,大形貨物にボルト組立てによる鋼製容器を用いるのは開梱を容易にするためである。(5)錆・腐食・水濡れ・かびなどによる品質低下または使用不能この損傷は,とくに金属製品に多発する。その原因として考えられることは,結露水を防ぐ包装方法に不備・手抜きがある場合が多い。(6)機器の防錆処理a)仕上面の清浄不完全b)防錆剤の選択及び使用方法の不適切(7)防水・防湿内装a)防水内装技法の不適切b)防湿内装技法及び乾燥剤使用量の不適切これらを適正に行うためには,貨物周囲の温度・湿度及び流通過程における変化,梱包から開梱までの期間などを把握する必要がある。とくに温度変化により包装内部に生ずる結露が問題である。(8)防水外装外装が密閉容器の場合,容器の防水処理の不適切。とくに外装容器の天井及び周囲の防水処置が不十分の場合に外部から浸水する恐れがある。また,屋外保管の場所が低地のとき雨水が貨物の底から浸水することがある。備考:これらの問題は包装技法で保護し得ることであるが,限度を越えた保管条件・気象条件によっては保護の限界を越えることがある。たとえば,降雨・降雪の屋外で防水シートも無しで長期間置かれることは限度を越えるものである。3.2.2損傷事故の対策事故を皆無にすることは売手,買手の双方にとって重要な問題である。前項に述べた種々な原因のどれかで事故が発生することがあるが,交通事故と同じように絶対皆無にすることは経済的な問題もともなって大変困難な問題である。もちろん包装技法上の欠陥に起因することがあるが,一般には輸送・荷役・保管などの多岐にわたって起因することが多いので,流通過程の各分野が事故の発生を防止する管理がより重要である。そのためには,各分野が包装の機能をよく理解して作業を遂行することが望ましい。万一,事故が発生した場合,その損害を保険で補うことも可能であるが,一般的に荷役中にスリングロープが外れたり切れて貨物を落下させた,フォークリフト荷役中に誤まって転倒した,フォークの先端を引っ掛けて破損した,トラックより落した、など明らかに荷役・輸送に起因するとみられるものは保険処理の対象になる。それに対し包装が不完全に起因するとみられる損害は保険では填補されない。しかしながら,実務的に包装が不完全であるかどうかを決める絶対的な基準はなく,審査人が事実関係を精査し,一般的な流通観念によって認定するのが普通である。問題は海外で事故が発生した場合の審査人は現地人なので,当然現地側の有利な判定をしが-13- 工業包装の概要ちである。これに対抗するためには包装設計の妥当性を明らかにできる根拠を用意しておく必要がある。このため,設計基準を記録するとともに,ある場合には全ての包装の内装・外装を写真で記録しておくことも行われている。3.3輸出包装における設計諸要素3.3.1梱包対象物の形態と品質の確認(1)形状(大形製品は現物または図面で,とくに底部の形状を確認し,解体するものは解体後の形態を確認する)(2)質量及び寸法(これにより包装単位と包装寸法を決定)(3)耐水及び耐湿性(防水包装,防湿包装の必要性)(4)耐錆性(さび止め処理と防湿包装の必要性)(5)耐温度性(高温地または極寒地向けによる品質の変化)(6)危険性(引火物,劇薬,爆発物,放射性物質など)(7)強度(とくに易損品は,その品物のGファクターの確認)(8)品物の種類,用途,性能など3.3.2生産者から海外需要者までの流通環境の調査(1)国内及び海外の港湾施設と荷役の状態(2)輸送経路(船舶,航空,鉄道,道路など)(3)保管状態(屋内保管か屋外保管か)(4)気象条件(輸送途上及び海外の気象条件)3.3.3適正梱包方法及び材料の選択(1)梱包方法の選択(前処理,個装及び内装,外装,マーキング)(2)梱包材料の選択(3)作業性及び経済性3.3.4解体物品が製品として,組立てたままでは体積・質量が大き過ぎて,輸送及び荷役が困難なもの,安定性に欠けるもの,損傷し易いもの,無駄な体積になるもの,包装しにくいものなどについては解体して包装し,再組立てに必要な合番のマーク,組立て図面または手順書などを添付する。ただし,物品が高精度のもの,組立てに特殊技術または特殊工具を必要とするもの,解体により剛性の損なわれるもの,品質劣化を来たす恐れのあるものなどは最大寸法,最大質量の限界内であれば解体せずに包装する。2輪車などは解体することにより包装容積の縮小を図ることができる。-14- 工業包装の概要3.3.5詰合せ製品本体に付属する部品または解体部品は,できるだけ同一包装内に詰合せる。または小形機器で同分類のものは,適切な包装体積になるように詰合せをすることが望ましい。ただし,分類の異なるもの,または異質の物質で他の製品に危害を与える恐れのあるものは同一包装に詰合せてはならない。予備品,工具類は別包装として,製品に詰合せてはならない。最近は,海上コンテナ輸送が増加したので輸送効率を上げるため,コンテナの内のり寸法に合わせたモジュール寸法の外装容器を用意して詰合せる包装も多く行われている。-15- 工業包装の概要4マーキング4.1マーキングの目的包装貨物を無事に目的地に到達させるため,外装の表面に各種のマーキングを施す。これは特に輸出貨物の場合は重要な工程である。マーキングの目的は,主として仕向地の明示,仕分けの便,荷扱い上の注意などのためであるが,これを明瞭に表示することが必要である。マーキングの不注意により,貨物が目的地に届かなかったり,注文と相違した貨物が届いたりすることがあるが,これはマーキングを軽視したために起きるクレームである。そのため,その解決に大きな経費を要し,信頼性を低下させ,ひいては国際問題に発展することもある。したがって,マーキングに対する重要性を認識し,安易に考えてはならない。また,契約による明示,仕向地の規則,商習慣なども十分考慮し尊重する必要がある。マーキングには,内装用と外装用があるが,ここでは主として外装用について述べる。4.2マーキングの種類マーキングを大別すると,船積みマーク(ShippingMark)と荷扱い指示マーク(CareorCautionMark)があり,契約によっては分類マークまたは識別マークなどがある。4.2.1船積みマーク(ShippingMark)船積みマークは通常,注文主によって指示されるもので,LCその他の契約関係書類に記載されているのが普通である。その内容は通常,表1-1によるが,プラントその他特別の契約によるときはプラント名,装置の分類表示など複雑な船積みマークを要求されることがある。船積みマークは,指示されたとおり行うことが必要で,書類と相違していると通関のとき拒否されるので注意を要する。船積みマークの大きさは,貨物の大きさに釣合った,できるだけ大きい大文字活字体で,両側面に印刷またはステンシルなどで鮮明に表示することが望ましい。特に主マークと仕向地マークは,一段大きい活字体が望ましい。表1-1船積みマークの構成(英文・中文)番号分類分類名称英文中文表示の義務色1主マークMAINMARK絶対黒COUNTERMARK2副マーク〃〃orSUBMARKDESTINATIONMAPK3仕向地マーク〃〃orPORTMARK4梱包番号PACKAGINGNUMBER〃〃5原産地マークCOUNTRYorORIGIN〃〃WEIGHT&適宜または6重量・体積マーク〃MEASUREMENTMARK指示による備考1.主マークは通常,注文主の識別に必要なシンボルマーク的なものが多く,内容品の品名-16- 工業包装の概要は盗難防止のため表示しないのが普通である。特に,時計などの小型で高価なものは,マークに注意し荷姿も仕向地により石油缶に詰めるなど工夫をこらしている場合がある。2.副マークは,注文主の類別による場合が多い。3.仕向地マークは通常,荷揚げ港名を表示する場合が多いが,最終仕向地が奥地の場合は,地名VIA荷揚げ港とすることがある。4.梱包番号は通常,船積みごとの一連番号とし,貨物の総量が30で10番目の貨物の場合は,10/30とするのが普通である。5.原産地マークは,日本から輸出する場合は,MADEINJAPANとする。6.重量は通常,正味重量(NETWEIGHT)と総重量(GROSSWEIGHT)の両方を表示するのが普通である。3体積は貨物の寸法を,長さ・幅・高さの順序でCMで表示し,体積は立方米(m)で表示するのが普通である。SI単位(国際単位)の普及により,ポンド・インチによる表示は殆どなくなってきている。また,通常3ton以上の重量貨物は,天井にも総重量を表示することが望ましい。とくに海上コンテナでなく在来船輸送によるときは,荷揚げのクレン荷役で,貨物の重量によりワイヤーロープの太さを選択する必要を生ずる場合が多い。小型,軽量の貨物の場合は,これを省略する場合が多い。4.2.2一般貨物の荷扱い指示マーク(PictorialMarkingforHandlingofGoods)この規格は,一般貨物の流通過程における貨物の保護及び荷扱い者の安全のために,適正な荷扱いを指示する場合に使用するマーク(以下,指示マークという。)についてJISにより規定されたものである(JISZO150-2001参照)。備考:“荷扱い”とは,物流過程における貨物の積卸し,運搬,仕分け,荷ぞろえなどのための荷役作業をいう。この指示マークの種類は,表1-2に示すように16種類が規定されている。-17- 工業包装の概要表1-2指示マークの種類番号呼び方指示マーク指示内容及び位置1壊れもの壊れやすいもので,注意し(FRAGILE)て取扱うことを示す。2取扱注意衝撃を与えないよう丁寧(HANDLEWITHCARE)に取り扱うことを示す。3手かぎ禁止手かぎを使ってはいけな(USENOHOOKS)いことを示す。(DONOTPUNCTURE)5直射日光・熱遮へい直射日光及び熱から遮へ(PROTECTFROMHEAT)いすることを示す。-18- 工業包装の概要4上貨物の正しい上方向を表(THISWAYUP)し,逆さ,横積みをしない表示例ことを示す。指示マークは表示例に示すように,包装貨物の側面またはつま面の上方の隅に近い異なった面の2ヵ所以上に表示する。6放射線防護放射源から隔離し,または(PROTECTFROM放射線を防ぐことを示す。RADIOACTIVESOURCES)7つり位置スリングをかける位置を(SLINGHERE)示す。指示マークは表示例に示すように,相対する2面それぞれに表示する8水ぬれ防止水ぬれしないように保護(KEEPDRY)することを示す。-19- 工業包装の概要9重心位置貨物の重心位置を示す。(CENTEROFGRAVITY)指示マークは表示例に示すように,重心の位置を容易に見出せるように必要な面に表示する。10不安定倒れやすい貨物であるこ(UNSTABLE)とを示す。11転がし禁止転がしていけないことを(DONOTROLL)示す。12ハンドトラックハンドトラックを差込ん差込み禁止ではいけない部位を示す。(NOHANDTRUCKHERE)13上積み制限上積みできる最大質量を(STACKING示す。LIMITATION)指示マークの上部には,最大許容質量を数値で表示する。-20- 工業包装の概要14積み段数制限積重ねできる総段数を示(LAYERSLIMIT)す。指示マークの上の数値は,最大許容積重ね総段数10段積みの事例を示す。15温度制限許容される温度範囲また(TEMPERAT-UREは最低・最高温度を示す。LIMITATIONS)15温度制限指示マークは表示例に示(TEMPERAT-UREすように、(1)は許容されLIMITATIONS)る温度範囲を、(2)は最低許容温度値を,(3)は最高許容温度値を表示する。16火気厳禁燃えやすいので火気を近(KEEPAWAYFROMFIRE)付けてはいけないことを示す。備考呼び方の括孤内は,輸出貨物などに使用する英文の呼び方を示す。(1)形状及び寸法指示マークを作成する場合に用いる基本パターンは,JISZ8250(図記号-21- 工業包装の概要通則)の9.による(図1-1参照)。また,指示マークの寸法は,図1-1のaの寸法を25mm,35mm,50mm,70mm,100mm,150mmまたは200mmのいずれかとする。(2)作図要領指示マークの作図は,表1-2の指示マークに等しいか,できるだけ近似した図柄とする。(3)表示a.色彩指示マークの色彩は,黒を原則とし,赤またはオレンジなどを用いてもよい。図1-1基本パターンただし,包装の地色から識別しやすい色を用いなければならない。また,必要な場合には,指示マークと地色の色彩を逆にしてもよい。b.表示方法指示マークは,刷込み,スタンプ,印刷,手書き,ラベルなどによって表示する。ただし,流通過程において,著しいにじみ,摩滅,すれ,退色,はく落などが生じてはならない。C.表示位置指示マークは,包装貨物表面の、気付きやすい位置に表示する。なお,指示マークを2種類以上併用するときには,なるべく縦または横に並べることが望ましい(図1-2,1-3の参考例参照)。図1-2普通木箱の図1-3枠組箱のマーキング例マーキング例この,JIS規格は,1985年に改正された国際規格ISO780(PackagingPictOrialmarkingforhandlingofgoods)に整合性を持たせるために,1988年に改正されたものである。-22- 工業包装の概要これまでのJISは,8種類の指示マークについて規定していたが,lSOでは13種類を規定しているところから,JISにもISOにも規定されている指示マークを追加するとともに,さらに必要な指示マークの追加も行われた。また,これまで規定されている指示マークについては,それを国際的にも理解しやすく,また全般に日本人の感覚にも合ったものになるよう配慮された。指示マークの寸法(基本パターンのa)は,従来は最小が35mm,最大が300mmであったが,包装寸法及び指示マークを併記する場合を考慮して,最小を25mm,最大を200mmと規定された。新・旧JIS及びISOとの対比を表1-3に示す。表1-3新・旧JIS及びISOの対比新JIS旧JISISO番号呼び方番号指示番号番号意味壊れもの壊れやすい壊れやすい121衝撃注意注意して扱う2取扱い注意(上記に含む)(上記に含む)3手かぎ禁止4手かぎ注意2手かぎ禁止4上1上3上方向5直射日光・熱遮へい(規定なし)4熱遮へい6放射線防護(規定なし)5熱及び放射線防護7つり位置5つり位置6つり位置8水ぬれ防止3水ぬれ注意7乾燥保持6こちらが重い9重心位置8重心8つり合い10不安定7倒れやすい(規定なし)11転がし禁止(規定なし)9転がし禁止ハンドトラック差込ハンドトラック差込12(規定なし)10み禁止み禁止位置13上積み制限(規定なし)11積上げ制限14積み段数制限(規定なし)(規定なし)15温度制限(規定なし)温度制限16火気厳禁(規定なし)(規定なし)(規定なし)(規定なし)クランプ位置なお,参考として注意マーク(CAREMARK)の一般的基準と,日本語に対する英文の対応を表1-4に,各国語による荷扱い注意文を表1-5に,ISOマークを表1-6に示す。-23- 工業包装の概要表1-4注意マーク(CAREMARK)の一般的基準番号分類名称英文表示位置表示の義務分類1荷扱作業用標識1天の標示TOPORUP適宣必要あるとき2荷重の釣合点CENTEROFBALANCEその釣合点位置しているとき3スリングする個所SLINGWITHCAREその個所必要あるとき4取扱注意HANDLEWITHCARE適宣〃5こわれやすきものFRAGILE〃〃6直射日光を避けよKEEPOUTOFTHESUN〃〃HOTTOBESTOWED7下積みにするなBELOWOTHERCARGO〃〃8縦積みのことKEEPUPRIGHT〃〃9落すべからずDONOTDROP〃〃10平積みのことKEEPPLAT(STOWLEVEL)〃〃11手鉤無用USENOHOOK〃〃12この面を上にせよTHISSIDEUP〃〃2保安用注意標識1倉庫内保管KEEPDRYAWAYFROMWET適宣必要あるときDONOTSTOREINADAMP2湿気のある所に置くなPLACEORKEEPDRY〃〃3腐敗しやすいPERISHABLEGOODS〃〃4ボイラーの近くに置くなSTOWAWAYFROMBOILER〃〃5冷所積みKEEPCOOL(STOWCOOL)〃〃6倒れやすいUNSTABLE〃〃7前面指示FRONTその面に〃8積重ね限界STACKLIMIT適宣〃3開梱の際の注意標識1暗室にて開けよOPENINDARKPLACE適宣必要あるとき2角金を切ってから天井をREMOVETOPFIRSTCUT〃〃とれSTRAPS(CORNERSTEEL)4危険または警戒標識1永久磁石の容器POWERFULMAGNETできるだけ前面に絶対2有毒性物質DANGEROFPOISON〃〃3腐蝕性の物質DANGEROFCORROSION〃〃4可燃性の物質DANGEROFIGNITION〃〃5火薬爆薬の物質DANGEROFEXPOSIVE〃〃6放射能関係物質DANGEROFRADIATION〃〃5その他の標識1防湿包装の注意PACKAGEDWITHDISICCANTDO適宣必要あるときNOTOPENUNTILREADYFORUSEORINSPECTION2再包装できない包装INPOSSIBILITYIN-PACKING〃〃3電池を含めた装置温式充電電池湿式未充電電池〃〃BATTERY(WET)BATTERY乾電池DRYBATTERY4セットまたは組立品のたSETMARK〃〃めの合マーク5サービス資料在中マークCONTAIN;SERVICEDATA〃〃-24- 工業包装の概要表1-5各国語による荷扱い注意文の例日本語英語スペイン語仏語独語ポルトガル語ガラス,こわれGlass,FragiVidrio,maneFragileatteZerbrechli-Fragil.1もの取扱注意-lehandle-Jesecon-ntion‥chVorsicht.withcarecuidado.空容器-に返WhenemptyCuandoestaVide,retourLeer,zuruckVasiado2送のことreturnto‥vacioa‥nach‥devolvea.regresesea.濡損注意Keepdry..MantengaseProtegerTrockenAfastada3seco..contrehaltenhumidadebumidite.手鉤無用UsenobooksNousaManiersansOhneHakenNaoemprege4‥ganchos‥cramponhandhaben.encncima.天地無用ThisSideDeesteladoCettefaceDeiseSeiteEstelado5up..enhaut‥oben..paraencncima.6上Top‥Tope‥Dessus‥Oberseite‥Tampa.重量,正味,法Weight,net,Peso,neto,Poids,net,lGevicht,netPeso,neto,定,総,風体legal,grosslegal,brutoegal,to,gesetzlilegal,bruto7,tare.,tara.brut,taro.-ch,brutto,,tara.tara.ボイラーに近StowawayNoponerseTenirVomNaocolloce8づけぬことfromboilerceroadeeloignedeDampfkesselpertodascalderaschaudierefernbaltenealdeade湿気のところDonotatoreNoguardarsePasTrockenTemeに置かぬことinadampenunlugaremmagasineraufspeicherbumidade9placehumedoenlieu-nhumide.低温のところKeepincoolGuardeseseGarderenKuhlaufTamecalor10に置くことplace.enlugarlieufrais..bewahren..fresco.-25- 工業包装の概要表1-6ISO780-1985(E)ImplicationFunctionNoSymbolofsymbolRemarks1FRAGILEToindicate:HANDLEWITHCAREa)thatthecontentsofthetransportPackagearefragile;b)thatithastobehandtedwithcare.2USENOHOOKSToindicatethathooksareprohibitedforliftingthetransportPackage.3THISWAYUPToindicatethecorrectuprightpositionofthetransportpackage.-26- 工業包装の概要ImplicationFunctionNoSymbolofsymbolRemarks4KEEPAWAYFROMToindicatethattheHEATtransportpackageshallbekeptawayfromheat.5PROTECTFROMToindicatethattheHEATANDcontentsoftheRADIOACTIVEpackagemaySOURCESdeteriorateorberenderedtotallyunusablebyheatorPenetratingradiation.6SLINGHEREToindicatewheretheslingsshallbeplacedforliftingthetranspotPackage.See2.4.1and2.4.37KEEPDRYToindicatethatthetransportpackageshallbekeptinadryenvironment.-27- 工業包装の概要ImplicationFunctionNoSymbolofsymbolRemarks8CENTREOFToindicatethecantreofgravityGRAVITYofthetransportpackage.NOTE-Examplefordisplayofsymbol8toindicatethecentreofgravityofatransportPackage:inthiscasenotidenticalwiththecentreofgravityassumedbythegeometricalshapeofpackagebutsituatedattheintersectionpointsOftheaxesofthethreesymbots.See2.4.1and2.4.39DONOTROLLToindicatethatthetransportpackageshallnotberolled.10NOHANDTRUCKToindicatewhereHEREhandtrucksordolliesshallnotbeplacedwhenhandlingthetransportpackage.11STACKINGToindicatetheLIMITATIONlimitedstackingpossibilitiesOfthetransportpackage.12CLAMPHEREToindicatewhereclampsShallbepIacedforhandlingthetransportPackage.-28- 工業包装の概要ImplicationFunctionNoSymbolofsymbolRemarks13ToindicatethetempeaturelimitationswithinwhichthetransportPackageshallbekeptandhandled.Figure-Examplesforsymboiswithbarsforapplicationbystencilling-29- 工業包装の概要以上の荷扱い指示マークは,仕向け国から特に指示がない限りJISによるものでよいが,呼び方を併記するときは,できるだけ現地語を用いることが望ましい。例えば,「取扱注意」に対し英文国ならば“HANDLEWITHCARE”,中国向けならば「小心軽放」などである。貨物に種類が多く現地の保管設備が不充分で,すべてに水漏れ防止の傘のマークを付けても屋内保管が不可能の場合は,現地側と打合わせの上とくに必要なものに限定することが望ましい。また,万一荷扱いが悪く貨物に破損事故が生じたときでも,指示マークが不充分な場合は,保険処理上不利になる恐れがあるので注意を要する。4.3危険物に対する標札及び標識1前項の注意マーク以外に,危険物()の輸送過程で取扱い者などの安全をはかり,船舶,航空機,車両その他の輸送関連機器及び他の貨物に対する損傷事故を防止するために,危険物の包装に施す標札及び標識がある。1注()危険物とは関連法規で定められたものをいう。これは,「国連の危険物輸送に関する専門委員会により作成された勧告書」及び運輸省令による「危険物船舶運送及び貯蔵規則に定める危険物の標札及び標識」によるもので,危険物の種類を表1-7に,図柄を図1-4に示す。表1-7危険物の種類危険物の図柄番号危険物の種類分類番号1火薬類12-1不燃性高圧ガス22-2可燃性ガス22-3毒性ガス23引火性液体34-1可燃性固体44-2自然発火しやすい物質44-3水と作用して可燃性ガスを発生する物質45-1酸化性物質55-1有機過酸化物56毒物(危険性の病原物質類を含む)67-1放射性物質(IAEAの分類番号による)77-2放射性物質(〃)77-3放射性物質(〃)78腐食性物質8-30- 工業包装の概要識標び及札表るす対に物険危4-1図-31- 工業包装の概要き続4-1図-32- 工業包装の概要4.4マーキング施工上の注意4.4.1外装容器に施すマーク外装容器に施す船積みマークは,その貨物の大きさにつり合った大きさの活字体で明瞭に施すことが望ましい。とくに主マーク及び仕向け港マークは一段大きい字体が望ましい。(1)立方体の外装容器立方体の外装容器に対しては,主マークは両側面に施し,注意マークは各面の左上またはよく目につく場所に施す。すかし箱の場合は,マーキングの部分だけ板を埋めるか,合板にマークを刷り込んだものを打付ける。在来船に積込む大形貨物は,仕向け港における荷役の便のために,天井にも主マークを施すことが望ましい。(2)円筒形の貨物図1-5ドラム缶,樽などの円筒形の貨物に対しては,円周面の等距離の2面に表示する(図1-5)。(3)平面的な貨物極端に平面的な外装で,側及びつま面に標示することが困難な場合には,天井面(蓋面)に有効に標示すること。(4)束その他の長尺物鋼材,パイプなどのバンドル梱包で直接マークの標示が困難なものに対しては,図1-6のように,印刷した金属または布製のタッグを脱落しないようしっかりと取リ付ける。図1-6バンドル梱包の例帯鉄または針金に巻きつける。clothtag(布製荷札)……1枚はパイプの内側に折り込む4.4.2マークの色彩船積み及び注意マークの色彩は原則として黒色とする。これらのマーキング用インクは油性とし,摩擦に耐え,にじみ,変色,剥落などの生じないものを用いる。もし,水性インクを用いたときは,その上にクリヤラッカーを吹きつけるなどの防水処置が必要である。-33- 工業包装の概要5工業包装の手順5.1前処理前処理とは主として金属,金属製品及び部品(以下金属製品という)を包装する際に腐食または錆の発生を防ぐために,金属製品に施す短期防錆の技法である。ただし,ここでいう前処理とは,金属製品の仕上げ面または塗装を施さない部分の防錆処理であって,ペイント塗装,メッキなどの長期防錆処理は含まない。前処理の技法は,原則としてJISZ0303-1985(さび止め包装方法通則)によるものとする。(以下,項目とは本講座「防錆防湿包装」テキストの項目をいう)(1)清浄及び乾燥金属製品の表面または仕上げ面は肉眼で判別できないような腐食,塵埃,異物の残滓及び指紋,汗,酸,アルカリなどでも付着していると輸送中または保管中に発錆の原因になるので,防錆・防湿包装の項目3.2.1の清浄方法から適正な方法を選択して充分な清浄を施し,乾燥は項目3.2.2によるものとする。(2)さび止め金属製品の表面または仕上げ面には,金属の種類,精密度,場所,期間などにより防錆・防湿包装の項目3.3.4の表6-3(「防錆防湿包装」テキストP14)の中から適切なさび止め剤を選択して適用し,その方法は項目3.3.4の表6-4による。5.2個装及び内装(1)個装個装とは,「物品個々の包装をいい,物品の商品価値を高めるため,または物品個々を保護するために適切な材料・容器などを物品に施す技術および施した状態をいう。」と定義されているように,小形商品の個々の包装である。前項の前処理を施した金属製品に個装を施すことが望ましい。大形物品の個装は即内装ということができる。(2)内装内装とは,「包装貨物の内部の包装をいい,物品に対する水・湿気・光熱・衝撃などを考慮して適切な材料・容器などを物品に施す技術および施した状態をいう。」と定義されている。これを分類すると表1-8のように分けられる。これは内箱包装にも適用される。-34- 工業包装の概要表1-8内装方法の種類と選択種類内容物品を包装外部の浸水から防ぐために施す内装方法。小形物品または個装容器を、ターポリン紙・合成樹脂フィルムなどの防水包装材料で包むか、外装容器の内面に防水材料を施して、できるだけ①防水包装全方位からの水の侵入を防ぎ、大形物品は、主として上部からの水の侵化入を防ぐよう防水材料を施す。学(JISZ0302防水包装参照。)的水の付着により発錆・品質の低下などの恐れのある物品は、防水はもと保より、湿気の侵入をできるだけ防ぐため、合成樹脂フィルム、金属はく護などの透湿度の低い防湿包装材料で、物品を直接または個装容器を包②防湿包装み、できるだけ内部の空気を抜いて熱封し、内部には、外気の温湿度の変化で生ずる内部の結露を防ぐため、適量の乾燥剤を挿入する。(JISZ0303さび止め包装方法通則参照。)物品が輸送及び荷役中の振動・衝撃などの外力で破損しやすい易損品のときは、その外力を破損限度内にとどめるため、緩衝材料を物品または③緩衝内装個装と外装容器内面との間に用いて緩衝内装を施す。小形商品を内装容物器の内部で段ボール紙を用いた仕切り材で緩衝するのも緩衝内装であ理る。(「緩衝包装方法」参照。)的剛性のある物品または内装容器などが、輸送・荷役中の振動・衝撃など保で外装内部で移動・転倒するのを防ぐため、ボルト、押え材などを用い護④固定内装て、外装容器の内部でしっかりと固定する内装を施す。(この方法には、とくに基準がないので難しい問題であるが、「固定方法」を参照することが望ましい。)備考:物品の品質・形状に応じて化学的内装・物理的内装のいずれかを組合わせた方法を選択する。<例>1.小形で易損性の電気機器類②及び③2.大形の精密機械・電気機器類②及び④3.仕上げ面の少ない剛性のある機器類①及び④4.鋼材及び鋼材の加工品類④のみ5.3外装の種類と選定の基準外装は包装貨物の外部の包装で、輸送対象の単位である。外装は物品の品質・形態・質量・内装方法・貨物の最大,最小の限界及び最終需要地までの流通条件によって表1-9の中から選択して適用する。-35- 工業包装の概要表1-9外装方法の種類と選択種類適用3①普通木箱密閉(板)内容品質量200kg以下、体積1m以下になる包装に(JISZ1402)すかし用い、つまの形式は原則として5形を用いる。密閉(合板)②腰下付木箱密閉(板)内容品質量1500kg以下、外のり寸法は長さ600cm、(JISZ1402)すかし幅及び高さ150cm以下で、3辺の合計が700cm以下密閉(合板)になる包装に用いる。③枠組箱密閉(板)内容品質量60,000kg以下、外のり寸法は長さ(JISZ1403)すかし1,500cm、幅及び高さ500cm以下になる包装に用い密閉(合板)る。④外桟枠組箱密閉(板)内容品質量15,000kg以下で剛性のある物品または(全輪梱連規格)すかし内箱包装されたものの容器として用い、内のり寸法密閉(合板)は長さ540cm、幅及び高さ330cm以下とする。ただし、内容品が長さ方向に単体で剛性のあるときは、長さ800cm以下とする。⑤桟付合板箱密閉内容品質量454kg未満の防水性を必要とする航空貨(JISZ1406)物などに用いる。⑥段ボール箱内容品質量50kg未満、最大内のり寸法200cm以下(JISZ1506)の小形商品の包装に用いる。⑦ワイヤバウンド箱ワイヤバウンド箱は国内用225kg以下ワイヤバウンドすかし箱輪出用135kg以下(JISZ1407-8)ワイヤバウンドすかし箱は225kg以下⑧強化段ボール箱各種強化段ボール箱が開発されており、腰下を用いたものは内容品質量1,000kg⑨腰下盤物品質量60,000kg以下の剛性のあるものに用いる。旧(JISZ1405)⑲鋼製容器密閉薄鉄板を加工したS-BOX、鋼材を用いたS.S-BOXすかしなどがあり、S-BOXは量産製品、S.S-BOXは工作機械などの重量物の包装に用いられている。⑪パレタイズストレッチ包装段ボール箱、小形包装貨物などの集合包装に用いられる。シュリンク包装貨物の固定と防水を兼ねて、ストレッチまたはシュリンク技法が用いられる。⑫バンドル長尺物の鉄鋼素材または加工品などで、そのままでは輸送の困難なものを鋼線その他で結束する。⑬ドラム液体または粉体製品を鋼製その他のドラムに詰める包装。-36- 工業包装の概要種類適用⑭裸剛性のある鉄鋼製品などで裸のままで輸送可能なもの。ただし、部分的に保護するものも含まれる。⑮海上コンテナ大形製品をオープンコンテナなどで包装するもの。⑯航空コンテナ航空専用コンテナであって、使用範囲はエアーポート・ツウエアーポート、つまり空港間輸送用コンテナである。備考:最近はコンテナリゼーションの発達により,上記の外装貨物は海上コンテナ詰めで輸送されるものが増えてきている。したがって,それだけ外装の簡易化が進められてきている。この場合注意を要することは,コンテナのまま最終需要地まで輸送されるか,揚げ地の港で出されてあとは鉄道またはトラック輸送されるかによって,外装の選択を考慮しなければならないことである。また,いかにコンテナ詰めでも内部固定のバンニングの巧拙によっては破損することがあるので注意を要する。とくに,密閉のドライコンテナの場合の木製容器詰めの貨物は木材の含有水分の蒸気が充満することにより錆びを生ずることがあるので,製品によっては十分な防湿包装を必要とする。-37- 工業包装の概要5.4木箱梱包作業手順梱包設計基礎図を基に貨物の平面図を描く、貨物の形状により前後、左右の計測を行う。側面図を描き貨物の高さを計測する、アンカーの位置を正確に計測する。貨物質量を必ず計測する。突起物などはスケッチと共に計測しておく、底部の凸凹を計測する、アンカーの測定は中心から中心までの距離を測り、また貨物の側面からアンカーの中心までを前後左右計測する。包装設計はJISに従い行う。各種部材の切断上下かまち、支柱、すじかい、水平、はり、はり受け、そえ柱、側・つま板、滑材、ヘッダー、負荷床材等の切断を設計図の寸法に従い行う。側・つま板の枠組み上下かまちを仕組場の鉄板上に並べる。支柱を並べ仮止めを行う。すじかいを合わせて、忍び釘を打ち、仮止めを行う。逆すじかいを合わせて、忍び釘を打ち、仮止めを行う。すじかい端部の鋸引きけがき位置を決め所定の定規を使いエンピツ等で線引きを行う。鋸で線引き部分を切断する。対ごとに区分しておく。-38- 工業包装の概要側・つま板の釘打ち枠組の上に仮並べする。側・つま板の位置を決める。側・つま板の両端を仮止めする。本釘打ちを行う。側板を反転させ、上かまちに、はり受け、支柱に、そえ柱を打ちつける。合板仕様、側・つま板を合板カットソー等を使い、設計図の寸法に従い切断する。側・つま合板の枠組上下かまちを仕組場の鉄板上に並べる。支柱を並べ仮止めを行う。水平材を合わせ、忍び釘を打ち、仮止めを行う。水平材端部の鋸引きけがき位置を決め所定の定規を使いエンピツ等で線引きを行う。鋸で線引き部分を切断する。高さ150cm以下の場合は水平材は用いない。側・つま合板の釘打ち枠組の上に合板を並べる。側・つま合板の両端を仮止めする。側・つま合板の位置を決め本打ちをする。側合板を反転させ、上かまちに、はり受け、支柱にそえ柱を打ちつける。-39- 工業包装の概要腰下の製作滑材、ヘッダー、負荷床材をハンマーで叩きながら腐れ、ひび割れ、死に節などを確認する。不良材は交換する。台木の上に滑材用材を並べ、その上にヘッダー及び負荷床材を載せる。滑材の上に仕組表の記載寸法通りにヘッダー、負荷床材を仮載せする。腰下の角度をスケールによって確認の上、調整し角度だしを行う。忍び釘により仮止めを行う。滑材とヘッダー、負荷床材の接合部のボルト位置の確認および穴あけを行う。負荷床材上のアンカーボルト用の穴あけ(仕組表により位置確認)作業を行う。ボルト穴のボルトヘッド部の座ぐりを行う。ボルト・ナットで全体を締める。ボルト頭部に緩み防止のため、ペイント塗りを行う。無負荷床材を張り付ける。-40- 工業包装の概要腰下を反転させアンカーボルトを取り付け、止め具によりボルトを固定する。更に重心位置を確認した後、すり材及びワイヤー受け金具を取り付ける。完成腰下は滑材の両端面のすり材端部間で、ワイヤーロープを追い込みクレーンで、吊り上げ、梱包作業場所まで移動する。防錆処理貨物搬入時に形状、錆の発生状況などを確認し、天候条件の悪い時或いは梱包まで期間が長いものは、一時防錆作業を行う。梱包作業の準備段階で発錆し易い部分をウエス等でほこりや、水分を拭き取りソルベント等で清浄の上、防錆油を塗布する。腰下台乗せ作業未加工部分の点検を行う。アンカーボルトを取り付ける。負荷床材と機械接触部分に防塵ゴムまたはゴムパットを敷き、アンカーボルトの部分はボルト径より多少小さめの穴をあけ、ボルトを差し込む。アンカーボルト部分に差し込んだ防塵ゴムまたはゴムパットの上部にシーリングコンパウンドを塗りつける。バリヤー材を腰下上面に敷きアンカーボルトが当る個所を穴あけし、バリヤー材をボルトに差し込む。アンカーボルト部分にゴムパットを差込みゴムパットの下面にシーリングコンパウンドを塗り密封度を高める。機械本体のアンカーホールに腰下に装着したボルトを差込ながら機械を腰下に載せる。機械のアンカー穴と腰下部のボルトがスムーズに入るよう、機械の吊り方は極力水平に吊り上げる。-41- 工業包装の概要機械番号またはその他の記号を腰下の木口に明瞭にマジックペンで記載する。仕向先の気象条件、輸送期間等を考慮し、計算した適量の乾燥剤を機械本体に取り付ける。袋入りの乾燥剤の紐は輸送中解けないよう堅く結びつける。機械本体に袋状にしたバリヤーをかぶせる。袋に切り傷や穴があった場合は、表裏からその個所を接着テープで補修する。底面に敷いたバリヤー材と袋状にしたバリヤー材をヒートシーラで吸気ブロワーのノズルが入る余地を残し接着させ、ブロワーで残留空気を抜き取り、空気がほぼ抜けた段階でノズルを抜き、その部分をヒートシールする。多少の時間で袋が膨らんで来た場合は、何処かに穴が空いているか、シール不良があるので、その部分を探し接着テープ、または、ヒートシーラーで補修する。根止め、突っ張りが必要なものは、その機械の形状、性質を勘案して適切な部材を選定し、固定方法についてもボルト、スクリューボルト、釘などの仕様の選定を行い安全な方法をもって固定する。-42- 工業包装の概要側・つま立てつま立ては原則としてクレーンにより、かまちにフックを掛け(2ケ所)して吊り上げヘッダーに添って滑材の上面に設置する。巨大貨物の側・つま立ては上部の通気口の穴を利用しワイヤーを使用してクレーンで滑材上部に設置する。(フックは使用しない)吊り上げたまま、つまの下部をヘッダーに釘で打ちつけ、フックを抜いても安定(倒れない)するよう固定する。側立ては、つま立てと同じくはり受けにフック掛けしたものを吊り上げ、下かまちが無負荷床材にあたる位置に設置する。吊り上げたまま、つまの内桟に釘打ちを行い仮止めする。必ず上面から仮止めを行い下面が収まりの悪いときは、大ハンマー等で叩き入れ、その後下部も釘打ちを行う。負荷床材に親釘を打つ。本釘打ちを行う。押え貨物が不安定で、揺れ止めが必要なものは押え材を当てる。押えは極力、支柱、すじかいに固定する。もし位置が合わない場合は、支柱と同一厚さの材料を側・つま板に取り付け、そこに固定する。はり、振れ止めの取り付け所定本数のはりを、はり受けに等間隔に載せる側板外面より親釘を打ち、はりを固定する。振れ止めの必要あるものは、はり間隔の長さに切断した、材料をはりに釘打ち出来るよう、交互に打ち付けて行く。-43- 工業包装の概要天井張り側、つま、はり上面に防水材料を全面に敷き接合部には接着テープを貼り雨水の浸入を防止する。(この場合できる限りはり上で接合する)下板を幅方向に並べ、両端のかまちに釘打ちする。上板を長手方向に並べ両端のかまちに釘打ちする。両端から内側に板を並べて行き、中間の板2枚を緊縮させ強く押し込み、板間の間隔を少なくする。本釘打ちを行う。すみ金、角金、ワイヤー当て金具の取り付けコーナー上部にピラミット型金具を取り付ける側、つま接合部分に角金を打ち付ける。側板上部にワイヤー受け金具を取り付ける。取り付け位置はスリングマークの延長線上を中心に取り付ける。貨物質量の測定包装終了後、貨物質量の測定を秤によって行う。測定の際、貨物の吊り上げた状態でセンターバランスを見てセンターマークを記入する。マーキング(荷印)作業指図書に基きメインマークの確認を行う。腰下部の木口に記載された機械番号または製造番号を確認の上、メインマークの刷り込みを行う。ケアーマークの刷り込みを行う。検量した総質量をマジックインク、または、ステンシルにて側面あるいはつま面に記入する。検査外装形態が作業指図書及び荷主が指定する梱包仕様書の許容範囲である事を確認する。質量測定時に貨物の吊り上げ角度に異常が無かったかの確認を行う。吊り上げバランスが悪ければ、すり材の取り付け位置が悪いので、正しい位置に変更する。メインマークと腰下部に記載された機械番号及び製造番号が一致している事の確認を行う。-44- 工業包装の概要-45- 参考文献輸送包装設計ハンドブック輸送包装研究会梱包実務必携手帳指導教育委員会包装の歴史日本包装技術協会平成17年9月30日第3刷発行工業包装の概要工業包装の手順日本梱包工業組合連合会(東日本梱包工業組合)〒143-0016東京都大田区大森北1-1-6イソーラ大森ビル2F電話03-3298-7876FAX03-3298-7878E-MAIL:konpou@epa.ne.jpURL:http://www.epa.ne.jp(西日本梱包工業組合)〒651-0084神戸市中央区磯辺通4-2-8田嶋ビル10階C電話078-251-1661FAX078-251-1662E-MAIL:main@wpa.ne.jpURL:http://www.wpa.ne.jp
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