廃棄物発電の現状と将来展望

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3、010年の日本の温暖化ガス排出量を90年比で6%減と当初の案（2.5%）よりも大きく削減することなどを定めた議定書が採択された．我が国は，世界最高水準の省エネルギー対策等の成果により，他国よりもエネルギー消費効率の高い経済活動を実現しているものの，二酸化炭素排出量は世界全体の約５％に当たり，米国，旧ソ連，中国に次いで第４位である．このため，省資源・省エネルギーを一層推進し，環境対策技術に優れた日本が地球温暖化防止のため環境技術の面で果たすべき役割は極めて大きいと言える．さて，我々の毎日の生活から排出されるごみ

4、（廃棄物）は無害化・減容化・安定化等のために現在７割以上が焼却処理されているものの，その際に発生する熱エネルギーは有効利用が進んでいるとは言い難い．本稿では，未利用エネルギー・新エネルギーの中で，最も有効利用が図りやすいエネルギーの一つと考えられている，廃棄物エネルギーを利用した発電に係わる現状と将来展望について，中小企業の事業者の人達などを念頭に置いて，分かり易く説明する．２．廃棄物処理に係わる社会の動向と廃棄物発電に対するインパクト廃棄物のリサイクルや処理に係わる問題は身近で大きな社会環境問題としてマスコ

5、ミでよく取り上げられている．その中で最近の重大なトピックとしては，大気汚染防止法改正などによるダイオキシン規制，容器包装リサイクル法の施行，新エネルギー導入大綱の決定などがあげられる．（１）ダイオキシン規制ダイオキシン類の排出，特に小規模なごみ焼却工場からの排出が日本で大きな社会問題となっている．このため，ダイオキシンに対して，大気汚染防止法施行令の改正による「指定物質」への指定等による対策や，廃棄物処理法の改正による廃棄物焼却施設への対策等が取られることとなった．平成9年1月の厚生省発表のダイオキシン類に係

6、る新ガイドラインでは，排出量削減の具体的方向性として，ごみの減量・リサイクルによるごみ焼却処理量の抑制，小規模自治体のごみ処理の広域化，ごみ焼却処理後に焼却残渣として残される焼却灰（主灰）・飛灰（集塵装置から排出される灰）の無害化処理等が挙げられている．しかしながら，小規模自治体のごみ処理の広域化は，生ごみの広域・長距離輸送や大規模焼却処理工場の立地の問題から，それほど容易ではない．このため，後でも説明する廃棄物の固形燃料化（ＲＤＦ化）が注目されている．また，主灰・飛灰の無害化処理はエネルギーを要するため廃棄

7、物発電の発電効率の低下，経済性の低下につながるという問題がある．（２）容器包装リサイクル法容器包装リサイクル法は平成9年4-10-月に施行され，これにより国，消費者，市町村，事業者のそれぞれの役割分担の下に容器包装廃棄物をリサイクルしていくこととなった．この法律では，消費者の発生抑制努力と分別収集への協力，市町村の分別収集，事業者の再商品化義務，などが規定されている．平成9年度よりガラスびんとペットボトルの再商品化義務が施行されており，平成12年4月からは，紙パック以外の紙容器包装，ペットボトル以外のプラスチ

8、ック容器包装についても再商品化義務対象となる．これは，処理対象となるごみ量の減少，ごみ資源の再生利用の促進による省資源・省エネルギー，埋立処分量の減少等，大変好ましいものの，ごみのカロリーが減少するので廃棄物発電の効率を低下させるという側面がある．（３）新エネルギー導入大綱等１）新エネルギー導入大綱は，エネルギーの中長期的な安定供給の確保，ＣＯ2排出等，地球環境問題への対応等の観点から，資源制約が少