地球环境问题の文脉で読み解く国际政治のパラダイムシフト冷戦终结から気候変动

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1、歴史は節目ごとに確実に前進し変化している。だから歴史は面白い。ヤルタ体制の崩壊を契機に、グローバル・テーマは、二極化したイデオロギーの対立軸から、気候変動に象徴される地球環境問題の脅威に、その主役の座を譲り渡した。徒然人が最初のドイツ駐在中の1989年にベルリンの壁が崩壊した。社会主義経済が停滞し、みるみる内に行きづまり、ソ連では1986年に深刻なチェルノブイリ原子力発電所事故が起こり、原発の炉心がとけると同時に社会主義体制事態の炉心もとけ始めていた。あたかも発電所事故のごとく、ダムが決壊するかのごとく、それ以降のヤルタ体制は崩壊はつるべおとしの様に早かった。そ

2、して、経済合理性と市場原理が、旧社会主義諸国にもおよび、一方では、莫大な軍需予算が削減され、軍縮が、デタントが、進んだ。いままでミサイル製造に投入されていた優秀なエンジニアは一気にインターネット分野と金融工学分野に自らの活躍の場をシフトし、旧社会主義陣営がかかえていた大量の人口は、あらたな市場経済に大量で廉価な労働力を提供した。国際政治空間は、その生理的必然として、ぽかりと空いてしまった「脅威の不在」「緊張の空間」を埋める「何か」の登場を必要とした。それを、国際政治空間の脅威一定の法則と呼ぶ。こうした文脈の中で、かようなヤルタ体制の冷戦体制の解体と同時に、新たな

3、国際政治のアジェンダとして登場してきたのが、地球環境問題である。科学者の視点から、CO2（二酸化炭素）排出が地球温暖化をもたらすことを指摘した最初の学術的議論は、いまから120年以上も大昔の1889年のスウェーデンの科学者スバンテ・アレニウスの研究まで遡るが、気候変動問題が、国際的なモメンタムとなるまでには、さらにアレニウスの指摘からほぼ100年の年月を要した。気候変動問題が初めて本格的に議論される契機となった最初の国際会議は、まだヤルタ体制が崩壊する前、ベルリンの壁の崩壊前夜と言ってもいい1985年に開催されたフィラハ会議（オーストリア）においてであった。ベル

4、リンの壁の崩壊は、その会議の4年後の1989年11月9日のことである。国連環境計画（UNEP）主催のこの会議は、地球温暖化に関する初めての世界会議で、アメリカやヨーロッパから数十名の科学者が集まり、以下のような宣言を採択した。（フィラハ会議で採択された宣言の骨子）①21世紀前半における世界の気温上昇はこれまで人類が経験したことがない大幅なものになる。②科学者と政治家や官僚などの政策決定者は、地球温暖化を防止するための対策を協力して始めなければならない。そして、それから3年後、いまから22年も前1988年6月30日に、カナダのトロントで、、トロント会議が開催された

5、。このトロント会議は、地球温暖化が国際的に重要な政策課題として初めて本格的に議論された重要な国際会議である。そこで、以下のような、地球目線にたった画期的で歴史的なメッセージが世界に向けて発表された。「人類は、全地球核戦争を除けば、究極の悲劇を招くことになるかもしれない、意図しない、制御不能の、地球大の実験を始めている。様々な地域での人間活動、化石燃料の非効率的な乱費、人口急増に起因する汚染によって、地球大気はこれまでにない速度で変化しつつある。この変化は国際安全保障にとって主要な脅威の１つになりつつある。」この歴史的メッセージは、トロント会議総括文書の冒頭の書き

6、だし部分である。そして、その同じ年の1988年9月27日に開催された国連総会で、当時まだソ連であったが、シュワルナゼ外相は、人類に環境に対する脅威が確実に迫っていることを指摘した上で、こう総括している。「現在は、何らかの地球レベルのコントロールなしには、平和的、創造的といわれる人類の活動が、地上のすべての生活の基盤に対する地球次元での攻撃に転化して住まうことに、明確に気づいた初めての時であろう」「生命圏には、政治ブロック、同盟・体制という区切りなど一切存在しない」と。そして、同じ年の12月7日に、かのゴルバチョフ書記長は、上記のシュワルナゼ外相演説に呼応するがご

7、とく、デタントを説く歴史的に有名な国連一般演説の席上で、「国際的な経済安全保障は、軍縮ばかりでなく、地球環境への脅威に対する認識を離れては考えられない」と喝破している。おそらく、ゴルバチョフ書記長やシュワルナゼ外相がかような危機感を抱くに至った背景には、その国連総会演説の2年前に起きた深刻なチェルノブイリ原子力発電所事故があったに違いない。そして、1989年11月9日に、ベルリンの壁が崩壊し、その後一気にダムの決壊をみるかのように、ヤルタ体制が瓦解するのである。かようにして、地球環境問題の文脈で新たな国際政治のパラダイムシフトが起こり、地球環境問題のアジェンダは

8、一気呵成に国際政治の舞台