[日本输血学会常用输血医学用语集]

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1、［日本輸血学会常用輸血医学用語集］［Ａ］A001ABHantigenABH抗原ABO血液型の抗原で，A抗原，B抗原およびH抗原の三種がある。これらの抗原は糖蛋白質や糖脂質などの糖鎖の非還元末端に存在する糖によって決定されている。H抗原は末端から2番目に存在するβ-D-ガラクトースにα(1→2)結合したL-フコースが抗原性を担っている。A抗原はH抗原のβ-D-ガラクトースにα(1→3)結合したN-アセチル-D-ガラクトサミンが抗原性を担っており，B抗原はH抗原のβ-D-ガラクトースにα(1→3)結合したD-ガラクトースが抗

2、原性を担っている。（滝澤久夫）A002ABHsubstancesABH型物質ABH抗原を担う物質である。赤血球膜，上皮細胞および内臓諸臓器の細胞膜などに糖脂質として存在しているものと分泌液中のムチン型糖蛋白質として存在しているものがある。なお，赤血球膜には膜蛋白として存在する血液型物質も知られている。糖脂質はスフィンゴシンに糖鎖が結合したスフィンゴ糖脂質である。また，ムチン型糖蛋白はペプチドコアから多数の糖鎖が延び出している分子量数百万の物質である。（滝澤久夫）A003ABObloodgroupsystemABO血液型（

3、系，システム）1901年K.Landsteinerによって発見された最初の血液型で，人の血液はA型，B型，O型およびAB型の4つの型に分類される。同一の型に属する人の間で輸血を行えば，重篤な輸血の副作用を生じないことから，この血液型の発見によって始めて輸血治療が可能になった。日本人におけるA型：O型：B型：AB型のおよその頻度は4：3：2：1である。ABO血液型の遺伝子構造は既に明らかにされている。［参考文献］F.Yamamoto,P.D.MacNeill,S.Hakomori：GenomicOrganizationof

4、HumanHisto-bloodGroupABOGenes,GlycobiologyVol.5(1),pp51-58,1995.（滝澤久夫）A004ABOincompatibilityABO不適合同種間のABO血液型の不一致によって発生する現象で、臨床的にはABO不適合輸血，妊娠，骨髄移植，臓器移植などがある。（高嶋聡子坂本久浩）A005absorptioncell吸収血球吸収セル特異的抗体を証明するために抗体をあらかじめ特異性の分かっている細胞に吸収させ，沈降物としてその反応系から除くために用いる細胞。例えば，妊娠や輸

5、血によって産生される同種抗体に自己抗体が混在しているとき，自己血球あるいはウサギ血球で自己抗体を吸収除去してから同種抗体を証明する時などに用いる。［参考文献］「日臨技輸血検査標準法」改訂委員会：日本臨床衛生検査技師会ライブラリーXⅡ，輸血検査の実際，近代出版，東京，1996,p.82-83.（神田靖男）A006absorptionandelutiontest吸収・解離試験absorption（吸収）は溶液中に溶けている抗体を対応する特異抗原と反応させ，不溶性にして取り除く方法で吸収血球量，吸収温度，吸収時間，そして回数等

6、は吸収すべき抗体の強さに応じて適宜決められる。elutiontest（解離試験）は粒子状抗原の膜上に結合している抗体を遊離させる試験である。なお，elutiontestには1)熱解離法，2)高イオン強度溶液法，3)有機溶媒法（エーテル，キシレン，クロロホルム等），4)pH操作法（酸，アルカリ）が知られている。［参考文献］山中学，富田仁：検査室用語事典，医学書院，東京，1983.p.89,p.128.（神田靖男）A007acid-citrate-dextrose(ACD)solutionACD抗凝固保存液血液抗凝固保存液の

7、一つであり，血中カルシウムと結合し抗凝固作用を示すクエン酸と赤血球等の血液細胞の栄養源（ATP等の合成原料）となるブドウ糖を含む。処方にはA液とB液があり，ACD-A液ではクエン酸ナトリウム22.0g,クエン酸8.0g,ブドウ糖22.0gに注射用蒸留水を加えて全量を1,000mlとし，血液200mlに対し30ml添加される。日赤のACD加全血及び赤血球の有効期間は採血後21日間とされていたが，1983年にCPDに変更された。（宮原正行）A008acidhemolysistest酸溶血試験ハム試験（H002Ham'stes

8、t）と同義語。補体の存在下で，塩酸添加によりpHを6.4-6.6に下げ，溶血の有無を観察する検査であり，pHの低下により補体第二経路が活性化されることを利用している。発作性夜間血色素尿症（PNH）で陽性になるが，PNH赤血球の補体溶血に対する抵抗性の減弱を示していると解釈されている。最近ではDAF等の赤血球膜上のPI