日本的家制度.pdf

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1、日本のイエ制度-ジェンダーを超えて「人間」の視点から捉え直す-国際文化学科4年浪岡幸歩はじめに第一章家制度の概要第一節家制度とは何か第二節家父長制とその歴史第三節直系家族制第四節一般的な家制度論第二章家の犠牲になる男性(長男)第一節戦後の家制度と長男第二節「長男」と「長男の妻」第三章「人間」の視点からの家制度―男性も「家」の犠牲者―第一節アンケート調査の全体集計結果と分析(1)アンケート調査の全体集計結果と分析―家制度全般―(2)アンケート調査の全体集計結果と分析―具体例をあげて―第二節分類別集計の結果と分析(1)親の労働形態別(2)出身地域別(3)祖父母との同別居別(4)兄弟・

2、姉妹構成別おわりにはじめに家制度を論じるとき「家父長的な家制度により女性が家に閉じ込められ、女性は家の犠牲者であった」というように、女性目線から論じられることが非常に多い。しかし、男性も犠牲になっているのではないかという疑問を持つようになった。そう思うようになったわけは、私の知人の話を聞いたことによる。私の知人に実家が本家で、農業をしている男性がいる。彼は家を出て働いていたが、数年前に家を継ぐため仕事を辞め、「跡取り」として実家に戻ってきた。本来家を継ぐはずだった彼の父親が亡くなったことで、息子である1彼が呼び戻されたのである。(2人兄弟で、呼び戻されたのは長男のほうである)家を

3、継ぐ、家業を継ぐといった場合その対象は男性、特に長男の場合が多い。それは、戦前までの家制度によるものであるとされる。家父長的要素が強かった日本の家制度下では、財産を継承するのは長男であり、家族の中でも男性の地位は高く、女性はそれに服従するのが当たり前であった。女性には財産を継承する権限はなく、生活においても家事や子どもの面倒を見るのが仕事で、外へ出ることは許されず、「家制度」は女性を縛り付けるものであった。しかし、戦後の民法改正により家制度は廃止された。女性は家から解放され、多少の差別はまだ残っているが社会に出て活躍するようになり、今後一層の活躍が期待される。一方男性はどうだろう

4、か。「家制度」は廃止されたが、完全に人々の意識の中から消えたわけではない。前述したとおり、家を継ぐのは長男という意識がまだ残っているため、仕事を辞めて実家に戻り後を継がなくてはいけなかったり、老後の両親の面倒など、かつて男性にとって味方であった家制度が、今では男性をも縛り付けているように思う。この知人の話を聞き、個人を犠牲にしてまで守らなければいけない「家」とは何なのかと興味を持つようになった。この論文では「男性(特に長男)も家の犠牲になっている」というひとつの仮説立て、第一章で家制度の概要を、第二章では家制度と男性との関係を論じ、第三章ではアンケート調査の結果分析を行い、そして

5、最後に、「男性(長男)も家制度の犠牲になっているのでは」という、自身の仮説が証明されるのかを、若者の目線で論じていきたい。第一章家制度の概要第一節家制度とは何か家制度とは、明治民法に採用された家族制度であり、親族関係のある者のうち更に狭い範囲の者を、戸主と家族として一つの家に属させ、戸主に統率権限を与えていた制度である。家は戸主と家族から構成される。戸主は家の統率者であり、家族は家を構成するもののうち戸主でないものをいう。ひとつの家はひとつの戸籍に登録される。つまり、同じ家に属するか否かの証明はその家の戸籍に登録されている者であるかどうかにより行われた。戸主は家の統率者として身分

6、を持つ者であり、戸籍上は筆頭に記載された。家の統率者として家族に対する扶養義務を負うほか、主に以下のような機能を有していた。これらは戸主権と呼ばれていた。①家族の入籍、去家に対する同意権②家族の婚姻、養子縁組に対する同意権とこれに伴う離籍権、復籍拒絶権③養親死亡後、養子の離縁に対する同意権④家族の居住指定権とこれに伴う離籍権⑤家族の瑕疵のある結婚、養子縁組の取消権⑥家族の禁治産、準禁治産の宣告、取消の請求⑦家族の後見人、保証人となる権利義務2⑧親族会に関する権利戸主の地位は、戸主の財産権とともに家督相続権(家父長制における家長権を意味)という制度に継承される。家督相続人(新戸主)

7、となる者は、旧戸主と同じ家に属するもの(家族)の中から男女・摘出子庶子・長幼の順で決められた上位の者、被相続人(旧戸主)により指定された者、旧戸主の父母や親族会により選定された者などの順で決めることになっていたが、通常は長男が家督相続人として戸主の地位を継承した。明治民法下における日本の家制度は、江戸時代に発達した「家父長制」と、親は一人の子の家族とだけ同居することを原則とする「直系家族制」の二つが融合して日本の「家制度」を支えていた。これを坂西友秀の『ジェンダーと家文化』(19

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