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时间:2019-03-01
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1、DiscussionPaperNo.22721stCenturyCenterofExcellenceProgram“BehavioralMacrodynamicsbasedonSurveysandExperiments”DISCUSSIONPAPERSERIESTraditionalfinancinganddistanttradesduringmodernizationprocessoffinancialindustry:acaseofYamaguchiprefectureinthe1870sYasuoTakatsukiOctober2007COESecretariatGradua
2、teSchoolofEconomicsOSAKAUNIVERSITY1-7Machikaneyama,Toyonaka,Osaka,560-0043,Japan金融制度改革期における地方金融∗――山口県上関町の質物金融―高槻泰郎†要旨近世から近代への移行過程について,その連続的な側面を強調する議論が支配的となって久しい.物流構造について言えば,近世期以来の流通システムが,1880年代に至っても存続し,機能していたことが明らかにされている.しかし,幕藩制下の取引統治が消滅した状況にあって,物流機能が持続することは,決して自明の事柄ではない.幕藩体制崩壊後にも流通が崩壊しなかった地域に
3、おいては,旧来からの流通機構が形を変えて存続し,機能することによって崩壊を回避したのではないか.そうした問題意識の下に,本稿では商品流通を円滑に機能させる上で,最も決定的な役割を果たす信用制度に着目した.商品流通を円滑に機能させるためには,輸送期間,あるいは販売期間中の信用供与が適切に行われなければならないが,こうした役割を担うべき金融手段の整備は,相対的に立ち遅れていた.近代的な商業手形取引が実現されるまでの間,隔地間商品流通を支えていたのは,いかなる信用制度であったのか.本稿は,少なくともその一部が,近世期以来の質物担保金融機関であったのではないかと考え,現在の山口県上関町に存
4、在した貸金会社,潤益社(1874-1884)という事例に則して,その具体像を解明することとした.山口県文書館所蔵の史料群によって分析を行った結果,潤益社は,質物担保金融による短期貸付を行うことにより,上関・室津の両港における買次商人に対して,運転資本を供給する役割を果たしていたことが明らかとなった.設立当初は,資金回収に苦しんだものの,良質な貸付先に絞ることによって,回収率を高めていったことも明らかとなった.商港に店を構える買次商人は,運転資本の問題,換言すれば,商品の買掛債務と売掛債権とのバランスの問題に,絶えず悩まされることとなる.為替手形,ないしはその割引による決済網が構築さ
5、れていない明治初年の段階にあって,上関・室津における買次商人に運転資本を供給し,当地における商品流通を支えていたのは,近世期以来の質物担保金融であったのである.JELClassification:G20,N25,N95KeyWords:近代日本経済史,地方金融,質物金融∗本稿を執筆するに当たり,中林真幸先生,宮本又郎先生,賀川隆行先生の諸先生方からは,多大なるご支援と,貴重なご助言を賜った.また,史料の閲覧に当たり,山口県文書館,専門研究員,和田秀作氏より,貴重なご助言を賜った.お名前をここに記して,感謝の意を述べたいと思う.†東京大学大学院経済学研究科,博士課程.〒113-003
6、3,東京都文京区本郷7-3-1.E-Mail:yasuo.takatsuki@gmail.com.金融制度改革期における地方金融――山口県上関町の質物金融―高槻泰郎問題の所在近世から近代への移行過程についてその連続的な側面を強調する議論が支配的となって久しい.たとえば中西聡が,肥料,油,綿,塩などの商品について,近世期以来の流通システムが,1880年代に至っても存続し,機能していたと指摘しているように1,幕藩体制の崩壊によっても,全国的な物流はともかくも機能し続けたこと,それは事実である.しかし,幕藩制下の取引統治が消滅した状況にあって,物流機能が持続することは,決して自明の事柄で
7、はない.例えば,大豆生田稔が明らかにしたように,近世以来,最重要商品であり続けた米の流通においてさえ,幕藩体制崩壊後から1880年代に至るまで,深刻な問題が生じていた2.道路や船といった物流の物的条件が満たされることは,円滑な商品流通の成立を,直ちには意味しないのである.幕藩体制崩壊後にも流通が崩壊しなかった地域においては,旧来からの流通機構が形を変えて存続し,機能することによって崩壊を回避したのではないか.そうした問題意識が本稿の出発点である.そこで本稿は,商品流通
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