凉宫ハルヒシリーズ-第05巻

凉宫ハルヒシリーズ-第05巻

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时间:2019-03-06

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1、第五章 週明け、そろそろ梅雨《つゆ》を感じさせる湿気《しっけ》を感じながら登校すると着いた頃《ころ》には今までにも増して汗《あせ》みずくになった。誰《だれ》かこの坂にエスカレータを付けるという公約を掲《かか》げて選挙に出る奴《やつ》はいないものか。将来選挙権を得たときにそいつに投票してやってもいい。 教室で下敷《したじ》きを団扇《うちわ》代わりにして首元から風を送り込んでいたら、珍《めずら》しく始業の鐘《かね》ギリギリにハルヒが入ってきた。 どすりと鞄《かばん》を机に投げ出し、「あたしも扇《あお》いでよ」「自分でやれ」 ハ

2、ルヒは二日前に駅前で別れたときとまったく変化のない仏頂面《ぶっちょうづら》で唇を突《つ》き出していた。最近マシな顔になったと思っていたのに、また元に戻《もど》っちまった。「あのさ、涼宮。お前『しあわせの青い鳥』って話知ってるか?」「それが何?」「いや、まあ何でもないんだけどな」「じゃあ訊《き》いてくんな」 ハルヒは斜《なな》め上を睨み、俺は前を向き、岡部教師がやって来てホームルームが始まった。 この日の授業中、不機嫌《ふきげん》オーラを八方に放射するハルヒのダウナーな気配がずっと俺の背中にプレッシャーを与《あた》えていて、

3、いや、今日ほど終業のチャイムが福音《ふくいん》に聞こえた日はなかった。山火事をいち早く察知した野ネズミのように、俺は部室|棟《とう》へと退避《たいひ》する。 部室で長門が読書する姿は今やデフォルトの風景であり、もはやこの部屋と切り離《はな》せない固定の置物のようでもあった。 だから俺は、一足先に部室に来ていた古泉一樹にこのように言った。「お前も俺に涼宮のことで何か話があるんじゃないのか?」 この場には三人しかいない。ハルヒは今週が掃除《そうじ》当番だし朝比奈さんはまだ来ていない。「おや、お前も、と言うからにはすでにお二方か

4、らアプローチを受けているようですね」 古泉は、昨日図書館から借り出した本に顔を埋《うず》めている長門を一瞥《いちべつ》する。すべてを知っているみたいな訳知り口調が気に入らない。「場所を変えましょう。涼宮さんに出くわすとマズイですから」 古泉が俺を伴《ともな》って訪れた先は食堂の屋外テーブルだった。途中《とちゅう》で自販機《じはんき》のコーヒーを買って手渡《てわた》し、丸いテーブルに男二人でつくのもアレだけども、この際仕方がない。「どこまでご存じですか?」「涼宮がただ者ではないってことくらいか」「それなら話は簡単です。その通

5、りなのでね」 これは何かの冗談《じょうだん》なのか? SOS団に揃《そろ》った三人が三人とも涼宮を人間じゃないみたいなことを言い出すとは、地球温暖化のせいで熱気にあてられてるんじゃねえのか。「まずお前の正体から聞こうか」 宇宙人と未来人には心当たりがあるか、「実は超能力《ちょうのうりょく》者でして、などと言うんじゃないだろうな」「先に言わないで欲しいな」 古泉は紙コップをゆるゆると振って、「ちょっと違《ちが》う気もするんですが、そうですね、超能力者と呼ぶのが一番近いかな。そうです、実は僕は超能力者なんですよ」 俺は黙《だま

6、》ってコーヒーを飲んだ。減糖しておくべきだった。甘ったるい。「本当はこんな急に転校してくるつもりはなかったんですが、状況《じょうきょう》が変わりましてね。よもやあの二人がこうも簡単に涼宮ハルヒと結託《けったく》するとは予定外でした。それまでは外部から観察しているだけだったんですけど」 ハルヒを珍しい昆虫《こんちゅう》か何かみたいに言うな。 俺の眉《まゆ》が寄ったのを見てとったか、「どうか気を悪くしないで下さい。我々も必死なんですよ。涼宮さんに危害を加えたりはしませんし、むしろ我々は彼女を危機から守ろうとしているんですから」

7、「我々ってことは、お前の他《ほか》にもいっぱいいるのか。その超能力者とやらは」「いっぱいってことはないですが、それなりには。僕は末端《まったん》なので正確には知りませんが、地球全土で十人くらいでしょう。その全員が『機関』に所属しているはずです」『機関』と来たか。「実体は不明です。構成員が何人いるのかも。トップにいる人たちがすべてを統括《とうかつ》しているそうですが」「……それで、その『機関』なる秘密結社は何をする団体なんだ」 古泉はぬるくなったコーヒーで唇《くちびる》を湿《しめ》らせ、「あなたの想像通りですよ。『機関』は三

8、年前の発足《ほっそく》以来、涼宮ハルヒの監視《かんし》を最重要|事項《じこう》にして存在しています。きっぱり言い切ってしまえば、涼宮さんを監視するためだけに発生した組織です。ここまで言えばそろそろお解《わか》りでしょうが、この学校にいる『機関』の手の者は僕だけではありません。何人ものエージェントがすでに

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