留学セミナー1

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1、新しい時代下の留学戦略日中料理文化大学教育学博士　王智新序、中日国交正常化以降四十年を経て、両国の戦略的相互関係は大きく変貌を遂げた。そこのとを端的に示す例は、21世紀に入って多くの関心を集めるようになった「東アジア共同体構想」である。特に日本では2005年度を「東アジア元年」とする提案まで出された。しかし、まさにその年の５月、時の総理小泉純一郎が靖国神社を参拝し、そのことを契機として潜在的な課題であった歴史教科諸問題をめぐり、改めて東アジア地域において大規模な対日抗議活動が繰り広げられた。グローバリゼーションや情報化の時代であるのも拘わらず、政

2、治が時局を「五四運動」（1921年、「対華二十一か条」　）の時期に一気にタイムスリップさせてしまったかのような社会的雰囲気が醸成された。現在の民主党政権は、選挙の時には、「米国との｢対等｣、中国との｢共存｣、そして｢アジア重視｣というマニフェストを掲げた。それは自由民主党・公明党政権よりも積極的な対中政策をとり、中日関係をさらに発展させることを予想させ期待させた。歴史認識問題についても、民主党は戦前の政党との関わりが少ないだけ、自民党より進歩的な姿勢を示す可能性があり、外交面で全体的な外交戦略を考慮して、より対等な立場を米国に要求して、アジアとの

3、関係を深めていくとすれば、おのずと中国をより重視することになるので、「民主党政権は中日関係にとって有利」な政治的状況であると私は判断していた　（人民日報・中国国際放送」　2009年8月31日　参照)。しかし、最近の独島（竹島）や魚釣島（尖閣諸島）問題を巡る一連の政治的動向を観察する限り、グローバル化、金融一体化、貨幣一体化等々幾多の構想が提起されても、当該地域に居住する人間相互間に、地域に共存する同志としての一体化、歴史認識の共有、相互に育て合う世界観について、共通の課題認識や同意がなければ、いかなる「共同体」も存在しえないと思わざるを得ない。仮

4、にそれが出来たとしても、それは砂上の楼閣か、蜃気楼にすぎない。　私は改めてユートピアに関する一個の真理を　再確認する思いである。本稿では、課題が山積する状況の下で、日中両国間の青年層の相互交流がこれまで以上に重要になるという問題意識に即して、中国人の留学をテーマとして歴史的背景、現今の実態、その背景、及び対応策を検討する。一、中国近代化と日本への留学と現在の状況中国近代史を紐解くと、近代以降、中国留学史上、日本への留学の高まりが二度あったことがわかる。一回目は、日清戦争直後、敗けた清朝政府が日本に１３名の官費留学生を派遣1896年、清の駐日公使裕

5、庚が上海、蘇州等地方で13名の留学生を募集し、日本へ留学に連れて行ったことが、近代日本留学の嚆矢となった。11したことを皮切りに、中国人の日本留学が堰を切ったように凄まじい勢いで行われた。二十世紀最初の十年間、中国人の日本留学は、それまでの留学動向の中で、「世界史上最大規模の留学生海外渡航運動となった。」（JohnKingFairbank、《東亜：伝統と改革》》（EastAsia,TraditionandTransformation）,p.628）　時代が、20世紀の70年代後半になると、中国の改革開放政策に伴って、第二回目の日本留学がその高まり

6、を見せた。この動向をどのように解釈し理解するか多様な視点があるが、私は、百数十年の間に、民族の存亡の危機に瀕して、個人の利害や犠牲を度外視して、数十万の若人が日本へ留学したのは、民族の危機を打破しようとする深く望遠の愛国心の現れであったと恩う。その努力からどのような結果が得られたであろうか。上述の清末と開放改革の二回の日本留学高潮が近代中国に深遠で計り知れない重大な影響を及ぼした。多くの留学生は自分の青春と情熱で近代国家を創り上げ、2千年以上に続いた封建制を倒し、壮絶な戦いを経て歴史に残る足跡を残した。その過程で、日本を通じて、マルクス主義を中国

7、に導入し、中国の民主主義革命を促したことは特記してよい。開放改革後の日本留学の目的もはっきりしていた。それはつまり、日本にある先進的な技術と文化および管理のノウハウを学び、中国の近代化、国際化を促進するためであった。ところで、近代以来、中国人はなぜあのように大量に、日本へ渡って留学するようになったのか。その質問に、当時政府の重鎮で両広総督、湖広総督を歴任、日本留学の推進者でもあった張之洞張之洞（1837～1909）中国、清末の政治家・思想家。対露・対仏・対日強硬外交を主張する一方、洋務運動を推進し、軍備拡張・近代工場の設立につとめた。また古典の保

8、存、儒教護持にも努め、中国近代史に大きな足跡を残した晩清の著名な政治家・教育家・軍事家・学者である。著書「勧学篇」などがある。は、有名な