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时间:2019-03-01
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1、肩関節周囲炎l.概 念 肩関節周囲炎という言葉は,1872年にDuplayが,肩関節に疼痛と制動があるが関節炎としては説明のつかない病態を,periarthritescapulo-humeraleと命名したことに由来する.また,いわゆる五十肩は明らかな起因を証明しにくい初老期の疼痛性肩関節制動症とされ,肩関節周囲炎とほぼ同じ意味で使われることが多い.両病名とも複雑な歴史的経緯があり,その概念は混乱している.現在,肩関節周囲炎あるいは五十肩という言葉の指し示す範囲には,①肩峰下滑液包炎あるいは腱板炎,②腱板断裂,③石灰性腱炎,④上腕二頭筋長頭腱炎,⑤凍結肩(狭義の五十肩,f
2、rozenshoulder)などの病態が含まれる. これらのうち腱板断裂と石灰性腱炎とは病態が比較的明瞭で,独立疾患として扱うのが普通になってきた(それぞれの項目参照).しかしすべての腱板断裂,特に部分断裂を診断することは困難であり,また病変が重複して存在する場合があること,終末期には凍結肩の状態になる例も多いことなどから,各病変を常に明確に区別することは難しい.肩関節周囲炎あるいは五十肩というあいまいな病名が生き続けているのは,このような事情によるものである.2.頻度 一定した診断基準がないので正確な頻度は不明である.凍結肩は50歳台,60歳台に多く,人口の2~5%に起こ
3、るとされている.3.病理・病因・病態 加齢,過労による肩関節構成体の変性を基盤にして発症すると考えられている.特に棘上筋腱と上腕二頭筋長頭腱は,上肢の使用によって烏口肩峰アーチの下で機械的刺激を受ける(subacromialimpingement)機会が多いため,変性を起こしやすい. 機能解剖学的には,上述の①②③は肩峰下略での滑動機構の障害,④は結節間溝での滑動機構の障害である.このうち,肩関節周囲炎の主体を占めるのは前者である・⑤の凍結肩には,これらの滑動障害が進行することによって二次的に成立するものと,早期からこの状態になる特発性のものとがある.腱板炎のような関節外の
4、病変が終末像として凍結肩に至る機序は不明であるが,腱板疎部および烏口上腕靭帯の関与も考えられている. 凍結肩では関節腔は縮小し,肩甲上腕関節の動きはほとんど消失する.凍結肩発症の危険因子として,肩関節を動かさないこと,外傷,頚椎症,胸部疾患,頭部疾患,糖尿病,筋筋膜症などが指摘されている.4.症状・症候 a.肩峰下滑液包炎あるいは腱板炎 特徴的症状は上肢挙上時の有痛弧徴候(painfularcsign)である.安静時痛はあることもないこともある.肩峰下滑液包あるいは棘上筋腱に一致した圧痛がみられる.他動的な可動域制限はほとんどない. b.上腕二頭筋長頭腱炎 肩前面に生じる運
5、動痛と結節間溝部の圧痛とが主徴候である・Yergasontest(p511参照)は特徴的とされるが陽性率は低い. c.凍結肩 3つの病期がある.すなわち,①強い疼痛を主徴候とするfreezing(painful)phase,②拘縮が完成するfrozen(stiff)phase,③拘縮が次第に寛解するthawing(recovery)phaseである.ただし,これらの病期を明確に区別することはできない. Freezing9/9phaseは3つの時期の中で最も疼痛が強く,2~3週から2~3カ月続く.衣服の着脱,入浴,大便の処置などの日常動作は困難になり,夜間痛のため睡眠が障害さ
6、れる.疼痛は一般に三角筋部,上腕外側にあるが,肘,前腕の橈側に及ぶ例もある.この時期の運動制限は疼痛に対する筋性防御的な要素が強い.一次的病変と考えられる肩峰下滑液包炎あるいは腱板炎,上腕二頭筋長頭腱炎に固有の徴候がみられることもあるが,時間frozenphaseは6カ月~1年続く.自発痛はfreezingphaseに比べると程度が軽く,関節可動域制限が主徴候である.肩の動きは主に肩甲胸郭関節によって行われ,肩甲上腕関節の動きはほとんど消失する.外転と外旋の制限はいわゆる結髪動作の障害となって現れ,後挙内旋の制限は結帯動作の障害となる.烏口突起や肩周囲筋の筋腹に圧痛がみられ
7、るが,これは関節拘縮による筋の代償的な過緊張や過使用のためである.経過の長い例では三角筋,棘下筋などに廃用性筋萎縮をみる. Recoveryphaseでは可動域が次第に改善し,疼痛もこれに伴って軽減する.この時期に特徴的な症候はない.5.検査所見 単純Ⅹ線では特異的な異常所見はないが,肩峰下面の骨増殖,大結節の硬化あるいは不整がみられることがある.罹病期間の長い凍結肩では上腕骨頭に骨萎縮がみられる. 凍結肩のfrozenphaseでは関節造影で関節睦の縮小があり,正常では20~30mlある関節容量が5~10mlに減
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