薄桜鬼~新选组奇谈1.doc

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1、雪村千鶴：今にして想えば、この夜の出会いこそが、私の運命を大きく変えた瞬間だった。浪人1：待ちやがれ、小僧。浪人2：クソ！どこに行きやがった！1：逃げ足の速い小僧だ。2：逃亡されはいちゃいまい、捜せ！洋志、てめえら。千鶴：なに？2：何だ！何なんだ?!こいつ。沖田総司：残念だな。僕一人で始末しちゃうつもりだったのに。斎藤君、こんな時に限って仕事速いよね。斎藤一：俺は務めを果たすべく動いていたまでだ。土方歳三：いいか？逃げるなよ。背を向ければ切る。千鶴：靡く漆黒の髪に私は息を呑んだ。ひらひらと降る雪が月明かりに照らされて、まるで狂い咲きの桜のようだ。主題歌「十六夜涙」第一話　雪華の都沖

2、田：おやおや、土方さんの嚇かすから、気を失っちゃったじゃないですか。斎藤：副長、死体の処理はいかよう。土方：羽織だけ脱がせとけ。後は監察に処理させよう。沖田：どうするんです？この子。土方：屯所に連れて行け。沖田：あれ？始末しなくていいですか？さっきは見られちゃったんですよ。土方：そいつの処分は帰ってから決めよう。千鶴：ここは？井上源三郎：目が覚めたかい？すまないね。こんな扱いで。今縄は解くから、少し待っておくれよ。総司の奴、こんなきつく縛り上げられたら、辛かっただろう。ちょっと起きてくれるかい？口の中のも出しちゃって。千鶴：あ、あの。ここはどこですか？貴方は一体。井上：ああ、失礼。

3、俺は井上源三郎。ここは新選組の屯所だ。千鶴：新選組？井上：そんなに驚かなくてもいい。ちょっと来てくれるかい？さあ、入って。沖田：おはよう、夕べはよく眠れた？みたいだね。顔に畳の跡が付いてるよ。千鶴：えっ？！斎藤：止せ、総司。本気にしている。畳の跡など付いちゃいない。沖田：ひどいね、一君。ばらさなくてもいいのに。土方：お前ら、無駄口ばか讃えてんじゃねえよ。沖田：は~い。藤堂平助：で、そいつが目撃者？ちっちゃいし細っぽいな。まだガキじゃん、そいつ。永倉新八：お前がガキとか言うなよ、平助。原田左之助：だな。ついでさまから見りゃ、お前も似たようなもんだろうがよ。平助：うるさいな。おじさん二

4、人は黙ってのよ。永倉：何だぞ。このお坊ちゃまよ。原田：お前におじさん呼ばされる覚えはないよ。新八はともかく、このオレはな。永倉：てめえ、裏切るのか、左之。近藤勇：止さんが、三人ども。山南敬助：口さがない奴ばかりで申し訳ありません。怖がらないでくださいね。まあ、そこを閉めて座りなさい。千鶴：はい。近藤：オレは新選組局長、近藤勇。こちらの山南君が総長。で、こっちの歳、いや、土方歳三は副長を勤めて。土方：近藤さん、なんでいろいろ教えてやったんだよ、あんた。永倉：これから審議する相手に、自己紹介はないんじゃねえの？原田：ま、そういうクソ真面目なところが近藤さんらしいっちゃらしいんだがな。近

5、藤：さて、本題に入ろう。まず改めて夕べの話を聞かせてくれるか、斉藤君。斎藤：夕べ、失敗した隊士らが市中に不逞浪人と遭遇、切り合いとなりましたが、我々は処理しました。その通り、この者に目撃されました。千鶴：私、何も見てません。平助：本当に？千鶴：見てません。平助：ん？ならいいんだけどさ。永倉：あれ？総司の話じゃお前が隊士どもを救ってくれたって話だったが。千鶴：違います。私はその浪士たちから逃げていて、そこに新選組の人たちが来て。だから、私が助けてもらったような者です。永倉：じゃ、隊士どもが浪士を切り殺している場面はしっかり見ちまったわけだな。原田：お前、根が素直なんだな。それ自体悪い

6、ことじゃないだろうが。沖田：ほら、殺しちゃいましょうよ。口封じするなら、それが一番じゃないですか？千鶴：そんな！近藤：そんなことを言うな。お上の下民をむやりに殺してなんとする！沖田：そんな顔しないでくださいよ。今のはただの冗談ですから。斎藤：冗談に聞こえる冗談を言え。千鶴：お願いです。私、絶対誰にも何も言いませんから。土方：もういい、連れて行け。千鶴：お願いです。助けてください。絶対に言いません。信じてください。お願いです。私、本当に。斎藤：己のために最悪を想定しておけ。さしてよいも及ばない。永倉：なに？処分無し？原田：いいのかよ、土方さん。あいつ見たんだろう。失敗した奴らをよ。土

7、方：俺たちは夕べ士道を背いた隊士を粛清した。あいつはその現場に偶然居合わせた。山南：それだけの話とおっしゃりたいですか？土方：実際、あのガキの認識なんさ、その程度のもんだろう。近藤：まあ、歳がそう言うのであれば。山南：元々そのつもりだったんでしょ？さもなければ生かしたまま屯所まで連れてきたりはしませんし。土方：チィ。山南：とは言え、あの秘密は守らなくてはなりません。このまま無罪放免というわけには。土方：わかってる。まだ確かめなきゃならねえこともあるしな。千鶴：このまま